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竪琴を奏でる騎士 [ヒストリカル]

SHALOCKMEMO314
竪琴を奏でる騎士 The Overlord's Bride 2001」
マーガレット・ムーア Margaret Moore margaretmoore.com 下山由美





HS-154「愛あればこそ」でディレイニア家のディランに結婚するはずだったジュヌヴィエーヴを奪われた格好のカークヒーズ卿レイモン・デティエンヌだが,本作で相変わらず俗物のペロネ男爵のもう一人の姪エリザベスと結婚することになる。しかも,エリザベスの方からの一方的な結婚願望に負けた形で。
エリザベスの描き方はとてもおもしろい。まさしく良妻賢母,かわいい女性の典型と言えるものの考え方,しかも勇敢で勘が鋭く,たんに,かわいいだけではなく自分の考えをしっかりと持ち,領主の妻としても懸命に勤めようと努力する,いわゆるこの時代の女性ならばいわば当たり前の感覚の持ち主。それだけに奇異に感じてしまうのは,ロマンス小説があまりに一部の進んだ女性や女性観を描こうとしているからだろうか。
それにしても,亡くなったかつての妻アリシアと兄モントロスの奇妙な関係は,本書の隠されたプロットとなっており,敵役フェイン・モントロス卿のゆがんだ愛の姿が,エリザベスの人物造形をみごとに引き立てている点,秀逸である。


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