剣と竪琴 [ヒストリカル]
SHALOCKMEMO318
「剣と竪琴 A Warrior's Heart 1992」
マーガレット・ムーア Margaret Moore 矢部 恵子
ウェールズの戦士エムリクは気に入らない従弟をからかうため、彼の婚約者をさらった。翌日、慣習に従いエムリクは婚約者を返すが、今度は婚約者が自らの意志で従弟のもとを抜け出してしまう。
マーガレット・ムーアの戦士に愛をシリーズ一気読みをスタート。(全巻読破できるかどうかはわからないが・・・) 現在のところ原作は1992年から2003年にかけて14巻発表されており,翻訳本も出た。
まずは,第1巻「剣と竪琴 A Warrior's Heart」。
おそらくどの巻にも登場してくるだろうキーパーソン,ディレイニア男爵とレディ・ロアンナのロマンス。MM(マーガレット・ムーア)のヒロイン観・ヒーロー観を最も強く表す1巻だろう。
肉体的,精神的,そしてヒストリカルでは始終問題になる出自。さらに,このシリーズではノルマン人とウェールズ人という民族問題取り上げている。ウェールズ人の風習やものの考え方は,シリーズの中で徐々に語られていくだろう。
クレイグ・フォアーの領主エムリス・ディレイニアとボーフォートの領主ウルフリッドの息子キンリク・ディレイニアはいとこ同士だが,深い確執がある。実はエムリスは庶子と言われてきたが,ウルフリッドの実子であり,キンリクとは実の兄弟だった。
キンリクの許嫁でウェスターコット家の娘ロアンナは寡黙で頑固,自分を美しいとは思っていない。このヒロイン像はこの後いくつかの作品のヒロインと重なってくる。
しかも,愛によってヒロインは自分に自信を持ち,美しさや聡明さが花開いていくというシンデレラ願望が共通しているかもしれない。
この他,エムリスの乳母のママエスという強烈なキャラクターは,母性の象徴としてシリーズの縦糸になっている。
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