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干し草をかぶった乙女 [キャサリン・アーチャー]

SHALOCKMEMO329
干し草をかぶった乙女 Autumn's Bride 2001」
キャサリン・アーチャー Catherine Archer 石川園枝 





家具職人の娘アナリースは、夜の森で瀕死の若者を見つけ、家へ連れ帰り必死に看病をした。その甲斐あって若者は日ましによくなるが、決して素性を明かそうとせず、アナリースの父に家具作りの手ほどきを受けたいと言い出した。



身分制度があろうがなかろうか,「身分」というのは自分の身をどのように処し,分をわきまえているかということであり,中世も現代も違わないのだということをテーマとして発信してくれる1冊。
アナリースの父ジョゼフ・スタナップのように家具職人=親方はマイスターと呼ばれ世間の尊敬を浴びていたのはヨーロッパの方だろうが,おそらく騎士階級と同じように世間から一目置かれる存在であったのではないか。貴族からの注文によって生活の糧を得ていたようだ。しかし,自尊心,仕事への厳しさと他人への思いやりを持つ人が,身近にクラモン男爵にように悪事をはたらくような貴族がいれば,貴族すべてに悪意を抱いてしまうのも無理ないではないか。
ブラッケンムーア男爵の弟で騎士のケンドランが家具職人の娘アナリースに自分の身分を隠したのはそんな心理が働いたからだった。
そして,敵役のダニエルが実に陰湿。まさに敵役にふさわしい人物造型だった。


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