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花嫁の醜聞 [デボラ・ヘイル]

SHALOCKMEMO338
花嫁の醜聞 A Gentleman of Substance 1999」 
デボラ・ヘイル Deborah Hale 辻 早苗



HS-277/07.01/\910/284p
花嫁の醜聞


リージェンシー。「花嫁の醜聞」はナポレオン戦争に参戦する前夜に愛を交わしてしまい身ごもったヒロインルーシーの行為をさすのだが,相手のジェレミーは参戦してすぐに亡くなってしまう。さらには,ルーシー以外の女性との間にも子供をもうけていたという事実が後から判明する。このことから,「ジェレミーの醜聞」というべきところだが,当の本人が死んでいるのだから始末が悪い。 “夫の権利”,“教会と国家の掟によって”定められた夫の権利。リージェンシーでも,それに従わない新しい価値観を描く作品が多いなかにあって,本作は正面からそれに取り組んだ作品。そのことからすると,「炭坑の落盤事故」や「女性誘拐拉致事件」すらもなんでもないことのように描かれてしまう。さらには,自分の領地の経営や事業の管理に打ち込むドレイク・ストリックランド子爵のような存在は当時の貴族社会では軽蔑の対象になっているという価値観。そして,難産を投げ出してしまう医師など,当時の価値観と葛藤がみごとに描かれている好著。


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