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シャーブルックの花嫁 [キャサリン・コールター]

SHALOCKMEMO397
シャーブルックの花嫁 The Sherbrooke Bride 1992」
キャサリン・コールター 富永佐知子





イギリス南東部。現在ではロムニー鉄道というミニ鉄道が走っていることで有名らしい。フランスまでドーバーをわたってカレーへと最も近い海路があることから,フランスとの行き来が古来多かった地域だったのだろう。
ベレスフォード公爵の娘でありながら,姉メリサンドは絶世の美女。妹は十人並みだとしてもそれなりに美しいのだろうが,幼い頃から比較され,いわば美貌の姉,気だての妹という関係であったのだろう。公爵家の没落とともに身売り同然に伯爵の住むノースクリフ館にやってきた姉妹だったが,よんどころない事情でフランスに渡って危険な役目をこなしているノースクリフ伯ダグラス・シャーブルックの替わりにメリサンドと結婚したのは,またいとこのアンソニー(トニー)だった。任務を無事終えて帰宅したダグラスを待っていたのはこの事実と,トニーが勝手にダグラスの代理となりすまし,ダグラスの妻として結婚したのは妹のアレックス。代理結婚?そんな風習がイギリスにあったとは!法的に許されるのか?
ともあれ,怒り心頭に走りアレックスをすっかり無視しようとするダグラスと,懸命にダグラスの真の妻になろうとするアレックス。この二人の虚々実々の心理の変化を作者コールターは実にうまく描き分けている。そして大きい胸を隠すように布まで蒔いていたアレックスに気づいたダグラスは欲望を感じるようになる。次第に目を離せなくなるものの素直になれないダグラスと,どんなにきつく言われてもめげずにダグラスを夫として認めてもらおうとするアレックスの二人の会話や行動は,コミカルで,中盤は笑いっぱなしになる。
そして宿敵ジョルジュにアレックスを誘拐されたダグラスとトニーはフランスに渡り,アレックスを取りもどす。夫を信じ,「わかったか」と無理難題を言われても「わかりました」と答え,結局は自分の思いどおりにしてしまうアレックスの芯の強さ。トニーにおだてられて次第に思うつぼにはまってしまうメリサンドの世間知らずさ,お茶目でいたずら好きなダグラスの妹シンジャンなど,きっちりとキャラクターを描きわけ,テンポよくストーリーを組み立てていくコールターのロマンス一杯のオススメの一作。


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