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ホテル・インフェルノ [ハーレクイン・スポットライト・プラス]

SHALOCKMEMO436
ホテル・インフェルノ Raintree : Inferno 2007」
リンダ・ハワード Linda Howard 氏家真智子



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久々のリンダ・ハワードです。SHALOCKMEMO=KISEKIでは,2006年8月8日読了の「未来からの恋人」以来ですから,実に2年ぶり。「200年たっても,人間の有り様はそう大きな変化はないのだということを繰り返し,しかも二つの時代の比較の中で語られる。200年後があたかも200年前のように示されているところが,とても興味深い」と,この作品を評しましたが,この「ホテル・インフェルノ」も,サイキック(超能力者とでも訳すのでしょうか)の一族が対抗するという非現実的な三部作(光と闇の覇者)の一作目をリンダ・ハワードが描いたということで,かなりSF色の強い作品になっています。
シリーズ名の「光と闇」を象徴するのが,正義の一族「レイントリー一族」と悪の一族「アンサラ一族」。両者とも寿命が何百年もある人たちが1000年以上反目し合い,200年前に一度大きな戦いをし,レイントリー側が勝利したものの,アンサラ一族の一部は生き残り,現代,アンサラ一族が再びレイントリー一族を攻撃してきたという設定です。
ヒロインは自らの能力をコントロールできない,どちらの一族にも属さない女性(はぐれ者というのだそうですが),ローナ・クレイ。ローナはアローンのアナグラムかもしれませんね。彼女の能力は数字に強いことと先読みができること。9.11のビルにつっこむジェット機の機体ナンバーが見えたというのですから,かなり広範囲でリスクを感じる感受性の強さを持っているということでしょうか。タイトルの「ホテル・インフェルノ」はヒーローでレイントリー一族の長,ダンテ・レイントリー。かなり傲慢で読者諸氏の中にはローナに感情移入するあまり嫌いになる人もあるかというぐらいの傲慢さ。しかし,孤独のうちに育ったローナにしてみれば,結局は,心の底では自分を守ってくれる頼れる男ということなのでしょう。特に際だった美女ではないローナのダンテに対する反抗心が,かえってダンテの保護本能と欲望を刺激したようです。火をあやつるダンテの経営するカジノがアンサラ一族によって火に包まれるという皮肉な幕開けと,ビルの階段で避難する人々が互いに助け合って1階まで降りていく様子は,まさに9.11の報道に着目したリンダ・ハワードの心の動きが見られます。


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