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プレイボーイの治療法 [マリー・フェラレーラ]

SHALOCKMEMO443
プレイボーイの治療法 Taming the Playboy
( Sons of Lily Moreau 2 ) 2007」
マリー・フェラレーラ 早川麻百合





 マリー・フェラレーラの「リリー・モンローの息子たち」シリーズの第2弾。
 リリー・モローは有名な女流画家で莫大な資産を持っていますが,男運にはあまり恵まれず,それぞれ父親の異なる3人の息子を持っています。(ちなみに父親がそれぞれ違うので,名字もそれぞれ異なります。)
 この作品は次男で心臓外科の研修医ジョージ・アーマンドのロマンスです。
 勤務を終え,恋人とのデートに向かう途中後続の車が当て逃げに巻き込まれた後続の車から,女性と老人を救い出します。自分の勤務する病院に電話して救急車で搬送した老人の手術にぜひ立ち会ってほしいと頼まれたジョージは,勤務明けにも関わらず,それを断ることができないという不思議な感じを受け入れ,助手として手術に参加します。そして,ほとんどきずかれないような欠陥からの小さな出血を執刀医に指摘し,老人の命を救います。この指摘をしたのが老人の孫娘ヴィエナでした。あとで聞いてみるとヴィエナには不思議な直感が働くことがあり,今回もそれを口に出さずにはいられなかったのです。老人と二人暮らしのヴィエナには祖父のアモス(エイモス?)が頼るべき唯一の肉親であり,心から老人を愛していたからです。
 プレイボーイとして周囲の女性から常に注目と誘いを受けていたジョージは,ヴィエナがこれまでの女性とは違う存在として,つい面倒を見たくなる,そして勤務に差し支えるほど頭を占める存在であることに気付きます。読者としては,例のヒロインの直感がその後ちょくちょく登場し,二人が一時的に喧嘩別れしてしまうことを期待してしまうのですが,残念ながらその後,その直感はあまり重要な点ではなくなってしまいます。そんなことから,フェラレーラのいつものサスペンス色は今回は現れず,ひたすらロマンス色の強い作品になっています。
 でも,その中でも異彩を放つのは,何といってもジョージの母親,リリー・モローの傍若無人ぶりと,それに負けず劣らずのアモス・シュワルツウォルデンの頑固ぶりでしょう。

 早川麻百合さんの訳はいつもとても素晴らしいのですが1カ所気になるところがありました。父親の異なる3人兄弟のことを,ヴィエナが聞くところに「腹違いの?」と聞くところがあります。聞かれたジョージも「腹違い」と答えているのですが,厳密には「腹違い」は母親が異なる場合をいうのであって,父親が違うのは「腹違い」とは言わないのではないでしょうか?原文では見ていないので,どんな単語が使われているかはわかりませんが,この部分は,もしヴィエナが「腹違い?」と聞いたのであれば,ジョージは当然「種違い」と答えるのが正しいのでは?
 さらに,重箱の隅をつつくようで恐縮ですが,ヒロインの名前はヴィエナよりヴィエンナと表記する方が響きもよく,やわらかい感じがすると思うのですがいかがでしょう。もっとも,ヴィエンナではちょっと古風すぎるので,コンテンポラリーのヒロインにはふさわしくないとお考えになられたのかもしれませんね。


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