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スキャンダラスな花嫁 [シルヴィア・アンドルー]

SHALOCKMEMO471
スキャンダラスな花嫁 Colonel Ancroft's Love 2003」
シルヴィア・アンドルー Sylvia Andrew 大谷真理子





原題は直訳すると「アンクロフト大佐の恋」となるでしょうか。実は,アンクロフトは,大佐からカヴァーデイル侯爵になっているのですが,ストーリー展開では,プロローグで,ワーテルローの戦いでは大佐になっており,3年後の1818年の第1章からは侯爵として登場します。ロンドンから領地に向かおうとしていたとき,財産管理の弁護士から,ある未亡人を領地の近くの場所まで送り届けてくれないかと頼まれます。未亡人ということからも年配の気難しい女性を想像していたのですが,その未亡人こそ,ジャマイカから帰ってきたばかりの大富豪の孫娘キャロラインだったのです。しかし,キャロラインは,ジャマイカから重要な遺品を親戚に届けることを亡くなった祖父から頼まれ,それを秘密にしながらの旅をしようとしていたのでした。旅の途中,なんどかキャロライン一行は怪しげな男から襲われたり,泥棒に入られたりしますが,盗賊に襲われたときにアンクロフトは重傷を負ってしまい,その看護をしたのはキャロラインでした。
この,ヒロイン,キャロラインはちょっと変わった女性です。当時のイギリス上流階級の夫人とは異なり,ジャマイカでは様々なうわさが流されていたらしく,貞淑で純粋な感じよりも,どちらかというと蓮っ葉な男を誘うような風貌と行動が見られ,ヒーローであるジョン・アンクロフトも,キャロラインの変装を説いた姿にその美貌に魅かれながらも,どこか信頼できないという感じを持ち続けます。しかしキャロラインは,ジョンの娘ハリエットと信頼関係を築いたり,領地経営に乗り気でないジョンと領民との間をうまく取り持ったりと,投げやりになっていたジョンに好ましい変化をもたらせるのでした。
ジョンの娘と従兄弟フィリップの妻ガブリエラの秘密とは,ジャマイカでキャロラインはどんな生活を送り,なぜ未亡人になったのか,互いに知られたくない過去を持ちながら,二人は互いの信頼をどのように築いていくのか,読者はそのプロットで物語は最後まで二人の間のわだかまりがいつ,どのように溶けるのかを期待しながら読み進んでいくことになります。
人はいつか他人に知られたくない秘密をもち,自分でそれを乗り越えないと,傷ついた自分から逃れられない。人生のそんな厳しさを物語にしていくと,こんなふうになるのでしょうか。
とても深い主題をもったヒストリカルの一作です。


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