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裏切られた愛情 [ジョージーナ・デボン]

SHALOCKMEMO472
裏切られた愛情 Betrayal 1999」
ジョージーナ・デヴォン Georgina Devon georginadevon.com 鈴木たえ子





ジョージーナ・デヴォンの訳書はそれほど多くありません。いずれもハーレクイン・ヒストリカルから「赤毛の公爵夫人 HS-162」「反抗的な花嫁 HS-188」「囚われた貴婦人 HS-213」「夢の求婚者 HS-326」そして,本書の5冊です。
「赤毛の公爵夫人」についてはハーレクイン文庫版もあります。しかも「囚われた・・」から「夢の・・」までは,3年間の翻訳ブランク期間があります。あまり売れなかったのでしょうか?それぞれの訳書が出た時に,同時に発売されたものを見ると,シャーリー・アントンやアン・ヘリスがあげられます。どちらも人気の作家ですので,あるいは,デヴォンの作品はその割りを食った可能性もあります。
閑話休題。時は1815年,ワーテルローの戦いで悪魔のように獅子奮迅の活躍をしたデヴェレルは,炎上した建物から戦友と太鼓手の少年を救い出したところで,天井の梁が落下してきて足に落ち,重傷を負った。前線の真っただ中で一命は取り留めたものの,足を切断しなければならないほどの傷を見て,軍医は近くの介護をしている少年に手伝うように指示します。しかし,少年は自分が手当てをすれば足は切断せずに回復させてあげたいと言います。実はこの少年こそ,男装したルクレール伯爵の娘フィリッパでした。ピッペンという名前で男装していたのは,死亡通知のあった双子の兄のフィリップが,まだ戦場で生き残ってフランスにいるのではないかという直感を信じ,兄を捜しにやってきていたのでした。軍人であるデヴェレルであれば兄の消息について何か知っているのではないかという思いと同時に,デヴェレルの美しい風貌を見て,恋に落ちてしまったでした。
その後,ある程度傷の回復の様子を見て,デヴェレルを家に連れ帰ったフィリッパですが,デヴェレルの母の強い勧めでその後もデヴェレルの看護を続けることになります。そして,伯爵夫人はピッペンがフィリッパの男装であることを見抜くのでした。傷のいえたデヴェレルですが,足は完全には回復せず,長い時間馬に乗ったり歩いたりすることは十分にはできませんでしたが,そんなデヴをフィリッパはかばい,深い愛情を抱いていくようになります。ところで,兄のフィリップは,実はフランスの二重スパイの疑いを掛けられていたのでした。そのことをワーテルローの勇者ウェリントン公から聞いたデヴェレルは,密かに兄を捜すフィリッパの護衛を務めながらフィリップを見つけて連れてくるようウェリントンから命じられます。女性であることを知り,兄を思うフィリッパの気持ちを知りながら,国を裏切った軍人を許せない気持との狭間で悩みながらも,フィリッパとデヴは再びフランスにわたり,ついに兄のフィリップに出会うことになります。しかし,イギリスについたフィリップはとらえられ,ロンドン塔に幽閉されてしまいました。なんとか兄の無実を晴らしたいと考えているフィリッパと祖父のルクレール伯爵,そしてフィリップの愛人ウィザースプーン侯爵夫人は,閣僚や貴族の館に忍び込んだり,パーティで書類をあさったりと冒険を重ねますが,その都度デヴが現れ,フィリッパの窮地を救います。やがて,フィリッパは,デヴェレルの子供を宿していることに気づきますが,兄が解放されない限りはデヴェレルを許すことができず,すげなくデヴェレルを拒絶し続けます。祖父のルクレール伯爵にフィリッパとの結婚を申し込んだデヴェレルですが,伯爵の怒りを買いなかなか想いを遂げることができません。
ついに,兄の裁判が始まり処刑が決まりますが,フィリッパと侯爵夫人の手引きでロンドン塔を抜け出し,フランスに渡ろうとしていたときに,本当のスパイであるグリモが二人を亡き者にしようとします。そこにデヴが駆け付け,命を賭して二人を助けます。
デヴの本当の愛情に気づき,兄の無実を証明したフィリッパは,デヴの申し出を受け,二人は永遠の愛を再び誓います。
ナポレオン戦争という激動の時代に,愛国心,男女の愛,立場の違いを超えた深い愛など,愛に満ち溢れた作品です。


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