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あなたという仮面の下は [エリザベス・ホイト]

SHALOCKMEMO474
あなたという仮面の下は The Raven Prince 2006」
エリザベス・ホイト Elizabeth Hoyt elizabethhoyt.com 古川奈々子





著者エリザベス・ホイトの作品は本邦初訳です。3人の子育てが一段落してから,5年かけて作家修業をし,ヒストリカル作家として成功したという頑張り屋さん。ジュリア・ハーパーという名前でコンテンポラリーも書いているという意欲的な作家さんです。



この作品は,18世紀の中頃,イングランドの片田舎で始まります。領主のスウォーティンガム伯爵エドワード・デラーフは,少年のころ天然痘で両親や弟を亡くし,ただ一人生き残ったものの,あばたが体や顔に残り,嫁いできた妻は,それを嫌っていることを,出産で命を失くそうとしていたときに告げられるという悲しい過去を背負っており,気難しく,周囲の人々から怖がられる存在になっていました。次々に秘書に去られてしまい,領地の家令が雇ってきたのが,貧しい未亡人だったのです。
ヒロインのアンナ・レンは,夫ピーターとの間に子供ができず,挙句の果てに浮気をされてしまい,夫の死後,その母であるマザー・レンとつましい生活を送っていたものの,蓄えも底を尽きかけてきたところで,伯爵家の秘書になるという思い切った行動に出たのでした。周囲の人々が恐れていた伯爵には,まったく恐ろしさを感じず,顔の天然痘痕も気にならず,常に主人に付き添っている恐ろしげな犬のジョックともすぐに仲良しになってしまい,伯爵に恋心を抱くのでした。しかし,伯爵は自分の後を継ぐ子どもが必要で,ロンドンである女性と婚約していることや,自分には二度と子供ができないものと思っていたことから,伯爵との結婚はできないものと思っています。それならば,自分とわからなければ,伯爵の愛に応えることができると思い,ロンドンの高級娼館に変装して出かけ,二晩にわたる伯爵とのめくるめく夜を過ごします。
普通のヒストリカルに比べて,かなりロマンス色の強い描写が随所にあらわれ,ディザイアとヒストリカルの二重の楽しみが味わえるのに加えて,各章のはじめに描かれている「カラスの王子」の寓話が,ファンタジーの色合いも出しているという,しかも,それがとてもマッチしており,一作で3種類の楽しみが満喫できるとても贅沢な作品に仕上がっており,「ロマンティック・タイムズ・レビュワーズ・チョイス賞」を受賞した傑作です。


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