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恋の罠は夜にまぎれて [エリザベス・ソーントン]

SHALOCKMEMO486
恋の罠は夜にまぎれて The Pleasure Trap 2007」
エリザベス・ソーントン Elizabeth Thornton 細田利江子





今月,ソーントンの新訳がでる(「夜明けの窓から口づけを」RS-ソ-01-05)ということで,未読だった本書を手にとりましたが,これまで読んだ「恋の罠に落ちた伯爵」,「不名誉なキスは恋の罠」の「罠」シリーズ(Trap 三部作)とは,ちょっと変わった感じの作品でした。
このシリーズではちょっと他人とは違った能力をもつヒロインが登場することと,サスペンス色が強いことが特徴ですが,本作もヒーローである子爵のアッシュ・デニスンが新聞小説として投稿された記事の内容が他人には知りえない過去の秘密や事件がリアルに描かれており,誰がそれを書いたのか,と調査するうちに,何十年にもわたって殺人を繰り返してきた男にたどり着くというサスペンスのプロットと,その男の頭の中に入り込み,他人の目を通して夢の中で物事を見る能力をもつヒロインのイヴ・ディアリングとのロマンスという二つの線が溶け合った,複雑なヒストリカルロマンスになっています。
さらには,ヒーロー,ヒロインそれぞれの母や弟などの家族が事故に巻き込まれて亡くなっており,それが事故死か殺人かというミステリ仕立てと,それぞれの親との不和に起因する愛に対するためらいに結びつき,互いの気持ちを素直に表せないというねじれた感情が,読者をやきもきさせるというロマンス小説の王道をきちんと踏まえて作られているという優れた作品でもあります。
しかし,いかんせん,登場人物が多すぎて,なかなか筋が頭に入ってこないことや,読むうえで,困難を感じてしまい,十分に楽しんで読めないこと,シリーズの最後としての大団円も十分用意されていないことなどから,あっけない幕切れになってしまっていることが,惜しい気がする作品でした。


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