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砂漠のウェディング [スーザン・マレリー]

SHALOCKMEMO500
砂漠のウエディング The Sheik's Secret Bride
(アラビアン・ロマンス 3) 2000」
スーザン・マレリー 野原 房





記念すべきSHALOCKMEMOのNo500は本書になりました。2003年の9月にNo1を上梓してからほぼ6年間で500冊を読了したことになります。年間約83冊強,月平均7冊弱となります。もちろん100ページ程度の短編から600ページを超す大作まで様々ですので,冊数で比較するのはあまり意味がないのかもしれませんが,一応の目安にはなると思います。仕事の関係で忙しく,月0冊というときもありましたし,逆に10冊を超える月もありましたが,6年前には月5冊,年間60冊を目標としていたので,目標はクリアできたのではないかと思います。今月にはBK1の書評の鉄人にも認定され,読後感を,丁寧に残してきたことに意味があるように思います。それまで,いわば読み散らかしていたものを何とか整理しようと考えて,蔵書リストを作ろうと始めたホームページですが,蔵書量が読書量を遙かに超えている今日,最近はリスト作りそのものよりも,読んだものの方に自分の養分となることを感じ始めています。はじめは数行しか読後感を書けず,もっとも読書メモというつもりであったので,そのことは特に問題視していませんが,ストーリーを示し,気に入ったヒーロー,ヒロイン像,そして作家諸氏や訳者諸氏の思いやねらいにまで思い至るようになってきたことは,自分の精神的成長と読むことによってますますロマンス小説にのめり込むという好循環をもたらしています。


さて,本書は,スーザン・マレリーのシークもの,架空の砂漠の国エル・バハール,隣国のバハニアを舞台にしたアラビアン・ロマンス・シリーズ(原題では「Desert Rogue (砂漠の詐欺師)」シリーズ)の1冊で,本書はその第3巻です。Desert Rogue Series には,バハニア王国を舞台にした3部作もあり,互いに登場人物が関連しています。2000年から作品が書き続けられ,今年13巻目が発表されているようです。そんなシリーズの中で,本書はエル・バハールのカーン王家の3人の王子たちをヒーローにした三部作の第3巻となります。長男で皇太子のマリク,次男ジャマール,三男カリール,そして三人の父ギボンと祖母ファティマがどの作品にも登場します。しかし,面白いことに,三男,二男,長男の順に物語は書かれています。三人のお相手になるヒロインたちは元秘書のドーラ,教養学校の卒業生ハイディ,そして本書のヒロイン,リアナはなんと子連れの教師と,そろいも揃ってプリンセスには縁遠い女性たちです。物語の設定としてスーザン・マレリーは,砂漠の王国の王子たちとプリンセスにはなりにくい女性たちを組み合わせることで,エル・バハールという歴史の深い国と現代とを結びつけようとしており,この設定はかなり成功しているように思えます。
エル・バハールの皇太子マリクは皇太子として育てられるために4歳で親元から引き離され,母親の保護と愛情を感じることなく成長します。さらに政略結婚で娶された前妻に裏切られ,「愛する」ということばを素直に口にすることができなくなっています。そんなマリクが偶然出会った,エル・バハールのアメリカンスクールの教師として子連れで赴任したリアナとその娘ベサニー。マリクとリアナは偶然エル・バハールに到着した飛行機の中で出会いますが,互いを一目見た瞬間強く惹かれる,運命的な出会いをします。この,運命的な出会いは,ロマンス小説には欠かせない設定ですね。読者は自分にはとうてい訪れないだろう美男美女の運命的な出会いをロマンス小説の中で疑似体験し,ひたすらロマンティックな気持ちをもち,ため息をつくことになるのですが,そのカタルシスこそがロマンス小説がもつ最大の魅力の一つでしょう。マリクはリアナ母娘を宮殿に住まわせますが,一国の皇太子が子連れの自分に惹かれるはずがないと考えるリアナは当初の条件だったアメリカンスクールの宿舎に移り,マリクから離れようとします。しかし,マリクはリアナを何とか宮殿にとどめようとし,さらにベサニーが馬が好きだと知ると自ら乗馬を教え,すっかり味方につけてしまいます。その後,砂漠の民の招待を受け,キャンプに出かけたマリクとリアナは,砂漠の民の方法で結婚式を挙げられてしまい,ロマンティックな雰囲気の中でベッドをともにしますが,それは法的な拘束力を持つ合法的な結婚を意味しました。そのことを後で知ったリアナは,無理矢理結婚させられたと感じ,なんとかアメリカに戻ろうとしますが,ベサニーはすっかりエル・バハールが気に入り,マリクに愛情を感じているため,母親を説得しようとします。残る,帰るの二つの気持ちの狭間でリアナの心は揺れますが,最後はマリクからついに「愛している」のことばを引き出し,ついにエル・バハールに残ることになります。
空港の飛行機の中で物語が始まり,最後も飛行機の中で終わるというにくいばかりの設定もあり,ロマンス度が高すぎるきらいもありますが,十分に楽しめる1冊です。


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