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愛は大空の彼方に [ソフトバンク文庫]

SHALOCKMEMO544
愛は大空の彼方に Seducing the Prince 2005」
パトリシア・グラッソ Patricia Grasso patriciagrasso.com 中川ゆみ





 カザノフ・シリーズ第2弾です。前作「すみれ色の瞳に恋して」で,すっかりパトリシア・グラッソ・ファンになってしまった斜麓駆ですが,普通,シリーズものは,続けて読んでいくとだんだんと作者の同じような言い回しや,読者を意識したちょっと臭い部分が鼻についてくることがあり,何作も続けて読む気持ちがだんだん落ちてくるものですが,このシリーズについては,全くそんなことがなく,ストーリーテラーとしての作者の技巧に見事にはまりこんでいく感じです。
 今回のヒーローはヴィクトール・カザノフ。そして,魅力的なヒロインとして,レジーナ・ブラッドフォード。レジーナの夫チャールズと,ヴィクトールの妻アデルが愛人同士という変わった関係の設定にまずは引きこまれます。しかも,レジーナとヴィクトールに関わる人々が次々に亡くなっていく展開。レジーナの親友ジンジャー・エバンスと,前作にも登場する探偵アマデウス・ブラック。などなど,シリーズものに欠かせない人々がちょくちょくと顔を出し,それぞれの屋敷の執事も,実にいい味を出すと同時にすぐにヒロインを助けようと背後で活躍するなど,名脇役たちに支えられているため,安心して次のページがめくれるところも魅力です。
 そしてなにより,パトリシア・グロッソのヒロインたちが自立を目指し,階級や権力に決して屈しない強い女性の見本のような人たちであり,ヒーローとヒロイン,主役と脇役が交わすウィットとユーモアにあふれた会話の妙。シリーズものでこれだけ特徴を出しながらそれぞれの作品の存在感を出すこの作者は,タダモノではありません。




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