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愛の花に抱かれて [ソフトバンク文庫]

SHALOCKMEMO547
愛の花に抱かれて Tempting The Prince 2007」
パトリシア・グラッソ Patricia Grasso patriciagrasso.com 谷 真帆子




SBNV-PG-04-05
10.03/\914/479p


絶好調カザノフ・シリーズの第4弾。前作「あなたに愛の歌声を」でステファン王子と結婚したフランボウ姉妹の長女ファンシーの妹ベルとステファンの兄のミハイルのロマンス。ベルは「庭の女神」と呼ばれ,花を元気づけるという才能の持ち主。また,料理や菓子作りにも抜群の才能を持つ愛情深い女性ですが,ある夜,帰宅したところを襲われ,頬に刃物の傷を残されてしまい,結婚をあきらめてしまいます。そんな彼女が庭で花に話しかけているところを見かけたミハイル王子は,亡くなった妻との間に設けた一粒種,エリザベスの母にふさわしい人を探していたのですが,ベルの美しさに一目ぼれしてしまい,求婚を決意します。兄弟たちやベルの姉妹に相談を持ちかけたミハイルは,作戦を練り,ベルを一人で傷を癒すために一軒家に転居させ,偶然襲われて記憶をなくした男性という役を自ら演じることにより,ベルとの結婚を成就させようとします。
時あたかもロンドンでは切り裂き魔が夜の女性たちを次々に襲い,バラの花と1ポンド金貨を置いていくという事件が連続して起こり,ベルの隣人だったアレックスや妹のレイヴンが犯人を追いかけているところでした。さてミハイル王子の作戦は見事にはまったように見えたのですが,二人のロマンスはどのように発展していくのでしょうか。
本作は前作とほぼ同じ時期を異なった人物からの視点で描くという実験的な作品であり,連続して描かれる物語というよりは,1作の表裏,つまり2作で1作とでもいう作者の意図が見事に成功している作品です。前作の出来事や人物の会話が,本作でも時に触れて登場し,読者は既視感と記憶にある会話に触れ,「ああ」や「おお」を心の中で叫びながらさらに深い感動を味わっていくことになります。
カザノフ家の王子たちや,フランボウ姉妹,そしてベルに意地悪をする3人の貴族令嬢たち,また,各家の執事たちやフランボウ姉妹の実の父とその後妻の公爵夫人など,前作でも登場した人々が実に生き生きと描かれ,さらに印象を濃くしていきます。
そして,終末に用意された驚愕の事実。切り裂き魔の正体。などなど,とにかく読者を飽きさせないサービス満点の超傑作をどうぞお楽しみあれ。できれば前作と連続して読むことをお薦めします。






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