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シークと幻の都 [シークもの]

SHALOCKMEMO568
シークと幻の都 The Sheik and the Runaway Princess 2001」
スーザン・マレリー Susan Mallery susanmallery.com 斉藤潤子





 スーザン・マレリーのアラビアン・ロマンス(Desert Rogue)・シリーズ,バハニア王国編。アラビアン・ロマンス・シリーズは,ハーレクイン文庫で再刊されており,第1巻の「ハーレムの夜」,第3巻の「砂漠のウェディング」,また,バハニア編の第7巻「砂塵のかなたに」,第9巻の「楽園の恋をもう一度」は既読です。かなり跳び跳びの時期に読んでいますし,通読しているわけでも順番に読んでいるわけでもないので,記憶に残っていないものもあります。今回,スーザン・マレリーのリストを更新するに当たり,7月からハバニア王国編がプレゼント・スペシャルで連続刊行されていることもあり,未読本を手にしてみました。



 もともと,マレリーの作品には一目置いていましたし,このシリーズを含めシークものは夏に向くなあと思っていましたので,手にして正解でした。バハニア王国編では,バハニア,エル・バハール,そして本書の舞台ともなる幻の都(謎の盗賊の都)の三国が隣接しており,王家も互いに連携しあって王位を継承していることが,本書の設定の重要な点でしょう。現実の国家としてはおそらくアラブ首長国連邦が考えられるのでしょうけれど,あまり宗教臭い所がなく,ヒーロー,ヒロインが欧米で教育を受けたり,砂漠の民と洋風の両方の教養と文化の担い手としての感性を持っていることが設定の条件となるのでしょう。そしてシークの血筋を引くことが。



 そういう意味では,本書がバハニア王国編の幕開けになる作品だということが,いかにもふさわしいと思います。原題を直訳すると「シークと逃げだした姫君」とでもなるのでしょうか。ヒロインのサブリナ・ジョンソンは,バハニアのプリンセス・サブラでもあるのですが,父王からは娘であるということで政略結婚の道具としてしか見られておらず,幼いころから認められない存在としてアメリカで母親のもとで生活していました。いよいよ会ったこともない男のところに嫁がせられると父から言われたことに耐えきれず,馬と駱駝のみを引き連れて,単身砂漠の幻の都を探しに旅に出たとたん,砂嵐に出会い,一夜にして馬と駱駝と持ち物すべてを無くしてしまいます。いよいよ命も尽きるかと思われたところにさっそうと現れたのは,傲慢で人を人とも思わず,自分を奴隷とすると宣言した男性でした。その男性こそ,ヒーローであり,サブリナの嫁ぎ先の相手だったプリンス・カーダルだったのです。しかし,カーダルは自分がサブリナの婚約の相手であることを明かさず,はねっ返りでちっとも言うことを聴かないサブリナに対して,ひそかに友情に近い好意を感じていくのです。しかしサブリナに対しては,そんなそぶりを見せず,奴隷として言うことを聴かせようとします。一方サブリナは,父王の仕打ちに腹を立ててはいるもののいつかは,奴隷の身から救ってくれるはずだということを信じ,探してくれることを期待つつも,カーダルに対して異性としての魅力を感じ始めます。しかし,カーダル自身も父であるエル・バハールの王から息子として認められず,ずっと父王を恨み続けていたのでした。似たような境遇の二人は互いの魅力にも惹かれ,次第に接近していくのですが,婚約中であるサブリナはカーダルがその相手であることを知らないため,いやいやながらも見知らぬ婚約者に操を立てようとします。また,女性への真の愛を知らないカーダルはサブリナに惹かれつつも,自分が婚約者であることを言い出せません。
やがて,エル・バハールの国王とバハニアの国王が幻の都にやってくることになります。互いの父親に素直になれない二人は,互いに似通った境遇であることから急速に接近していくのですが・・・・
 設定をうまく生かし,サブ・シリーズの開幕にふさわしい傑作に仕上がった1作です。


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