オアシスの熱い夜 [シークもの]
SHALOCKMEMO569
「オアシスの熱い夜 The Sheik and the Virgin Princess 2002」
スーザン・マレリー Susan Mallery susanmallery.com せとちやこ
引き続き,スーザン・マレリーのアラビアン・ロマンス・バハニア王国編の第2巻(シリーズ第5巻)です。前作で幻の都のプリンス・カーダルとバハニアのプリンセスのサブリナとのロマンスに深くかかわり,カーダルの右腕とも言えるアメリカ人,レイフ・ストライカーがヒーローです。
ヒロインは,バハニア国王がアメリカで見染めたダンサーとのロマンスとの結果生まれた大学教授ザーラ・パクストン。ザーラの母フィオナが亡くなってからしばらくして,遺産管理の弁護士が管理していた手紙の束と指輪をザーラのもとに届けます。その手紙はバハニア国王とフィオナが数年間愛しあい,自分の父が国王かもしれないという驚くべき出生の秘密がつづられていました。ザーラには里子として家に来て,少女のころから妹として一緒に暮らしてきたクリオがいました。4歳違いの二人は本当の姉妹のように助け合い,励ましあいながら暮らしてきたのですが,ザーラのもとに届けられた手紙の真相を探るべく,ツアー客としてバハニアにやってくるのです。宮殿の見学の途中でザーラはプリンセス・サブラであるサブリナと間違えられ,ツアー客から離されてしまうのですが,その時,バハニアにやってきていたレイフと運命的な出会いをします。
その後,レイフの導きで国王と対面したザーラですが,国王はすっかり自分とかつて愛した人との娘だと信じ,大喜びするのですが,ザーラ本人は,実感がわかないまま,王族になり,宮殿で暮らすということに乗り気にはなれません。王宮のパーティに,説得されてしぶしぶ出席したザーラですが,公爵や実業家といった男性たちからちやほやされても戸惑うばかり。実はレイフに対して,すでに好意を抱き始めていたからです。
二週間後にクリオは自分の仕事に戻るため,バハニアを後にします。サブリナと姉妹の中をとりもどしたザーラですが,宮殿での所在感のないザーラは今後のことについて考えることすらできませんでした。レイフの方も,ザーラに対する想いは次第に高まり,マスコミうや市民の大騒ぎから逃れてエル・バハールの孤島で,二人の休暇が始まります。ここまでのストーリーは本当にテンポよく,小さな事件があるものの二人はやがて結ばれるのだろうと思わせるのですが,終末での大どんでん返しが待っています。
さわやかな二人と,二人を取り巻く国王をはじめ,周囲の人々の温かい接し方に,思わず熱い思いがこみ上げる結末が用意されている秀作です。
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