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砂漠に降る雪 [スーザン・マレリー]

SHALOCKMEMO579
砂漠に降る雪 The Sheik and the Christmas Bride
(アラビアン・ロマンス 11) 2007」
スーザン・マレリー 渡辺千穂子





 引き続き「アラビアン・ロマンス」です。本作の舞台はバハニアではなく隣国のエルデハリア王国ですが,バハニアの国王ハッサンも登場します。エルデハリアの国王ムクスターもハッサンと同じく妻を亡くしていますが,6人の息子もそれぞれ立派に成人しています。妹のプリンセス・リーナも夫を亡くし,宮殿に帰ってきていますが,ハッサンの息子たちがみな幸せな結婚をしたという噂を聴き,我が息子たちにも幸せな結婚をさせたいと考えていたところで,良い嫁を見つけてくれるようリーナに依頼します。最初に選ばれたのは国の内政を主に担当しているプリンス・エイサド。ある族長に一族の子供であるからと連れ去られようとしていた3人の娘を離れ離れにさせないために敢然と立ち向かった勇気のある女性教師ケイリーン・ジェイムズをひょんなことから助けたエイサドは,3人の娘を養子として宮殿に住まわせ,家庭教師としてケイリーンを雇うことにします。母親が16歳でケイリーンを出産し,祖母に預けられたにもかかわらず,育児放棄した祖母に修道院に預けられ,修道女見習いとして成長してきたケイリーンですが,愛情深く修道院で育てられ,たくましく立派な教師として成長し,25歳になったところです。一方プリンス・エイサドは宮殿で何不自由なく育ってきたものの,母親の記憶があまりなく,愛情を含めた感情は男を弱くするものだと思い込んで育ってきました。3人の娘たちは,自分が守らなければという思いはあったものの,愛情が必要だというケイリーンの言葉は今一つピンときません。
 国王ムクスターに良縁をと依頼された叔母のリーナですが,実は自身がバハニアのハッサン国王を男性として意識していたことに気付き,ハッサンはエルデハリアを訪れます。こちらはサブストーリーとしては面白いのですが,バハニアとエルデハリアとの関係が敵対するものか友好的なのかはあまりはっきりとは示されないため,ちょっとボケ気味の感じがします。
 そして,エイサドとケイリーンの間には互いに深い感情が交流し合うのですが,エイサドはケイリーンや娘たちを「愛している」という言葉がなかなか口に出せないまま,終盤まで引っ張ります。愛情深く,美形で,困難に立ち向かう意志の強さと頭のよさを兼ね備えたアイリーンですが,やはり修道院で育った自分がプリンセスとして王族の間で生活するということにはいつまでたっても自信が持てず,砂漠の国を訪ねてきた自分の実の母にも愛情を期待できず,娘たちと宮殿を去るのでした。
 エイサドは,ケイリーンに愛を告げることができるのでしょうか。クリスマスを目前にした砂漠の国に,奇跡は起こるのでしょうか。用意された結末はとても感動的です。


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