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しあわせの面影 [エミリー・ローズ]

SHALOCKMEMO601
しあわせの面影 Executive's Pregnancy Ultimatum 2010」
エミリー・ローズ  Emilie Rose  emilierose.com 土屋 恵





 ミニシリーズ「ラブ・アンド・ビジネス」の第2巻です。サンフランシスコの大手広告企業「マドックス・コミュニケーション」の副社長フリン・マドックスは,建築士を目指していましたが,父親の死により兄が継いだ会社の副社長として経営陣に加わらざるを得なくなりました。当時結婚したばかりだったフリンですが,父親を亡くした絶望感と新しい仕事を覚えなければならないという重圧に苦しみ,会社に泊まり込むことが多くなるなど謀殺される日々が続きます。そんなフリンの妻ルネは,夫に顧みられない寂しさから,ついアルコールに手を出し,気付いた時にはベッドのわきに二本のワインボトルが転がっている有様でした。実はルネの母親はアルコール依存症で精神的にも不安定になるときが多く,ルネはそんな母の血を継いでいることを誰にも,夫にすら打ち明けられずに苦しんでいたのでした。このままでは,母と同じになってしまうという絶望から,置手紙を残してロサンゼルスに逃げ去っていたのでした。そして,以前から得意だった料理の腕を生かしてケータリングの会社を友人と興し,そこそこ成功することができるようになりました。しかし,仕事に夢中になるあまり夫の元を去って7年半が過ぎていることに気付きます。このままでは自分の人生に後悔が残るばかり,シングルマザーでも子供がほしいと思ったルネは,精子バンクに問い合わせ人工授精によって子供を得ようとします。しかも,自分の夫が大学時代に精子バンクに登録していたことを思い出し,夫の精子を買おうとしたのでした。ところが,弁護士から告げられたのは,夫との離婚がまだ成立していないということだったのです。確かに自分が離婚届を送ったので,すっかり離婚は成立していると思っていたのに。
 一方フリンの方も精子バンクから自分の精子をほしがっているのが妻だったルネであることを知らされ,驚きます。しかも離婚届を兄に役所に届けてほしいと依頼していたにもかかわらず,兄は忙しさに取り紛れてすっかり忘れていたというではありませんか。二人の離婚届は何とフリンの兄のオフィスの机の中に忘れられていたままだったのです。
 離婚が成立していない自分の精子を,妻が求めているということをしらされ,フリンはまだ妻とやり直すきっかけになるのではないかと思うようになります。しかも,このことがマスコミに知られると,ライバル会社にプライベートなことでどんなことをリークされるかわかりません。フリンはロスに向かい,ルネに自分との結婚を見直してほしいと頼み込むのでした。



 心優しいフリンがルネの決心を求めて次々に,しかも粘り強く夫婦関係を作り直そうとする姿が感動を呼びます。そして,二人とも母親の呪縛から逃れられるのでしょうか。それが読みどころとなっています。




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