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魔性の女がほほえむとき [コンテンポラリー]

SHALOCKMEMO606
魔性の女がほほえむとき Killjoy 2002」
ジュリー・ガーウッド  Julie Garwood  juliegarwood.com 鈴木美朋





ブキャナン家シリーズの第3弾になりますが,前作「標的のミシェル」と姉妹編といっていい内容です。前作がどうも中途半端な終わり方をしたので,「あれっ」という感じを持った方も多いのではないでしょうか。本書はその続編とも言えるものですが,独立のストーリーとしても十分楽しめます。そして,さらに本書のタイトルにもなっている「魔性の女」のその後も気になるところですので,ガーウッドはさらに次なる1作を狙っているのかもしれません。



さて,前作で仏頂面で,とっつきにくく,けんかっ早いと表現されていたミシェルの兄ジョン・ポールですが,宿敵モンクを追いかけて本書では堂々と主役を張ります。今回モンクも,殺人マシーンとしての役割ばかりでなく,ちょっと人間味のある人物として描かれています。それは,なによりもジリーという魔性の女に恋をして,いつも完璧を求めている自分の殺人スタイルを貫きつつも,ついついジリーの言いなりになって次善の策に嵌っていってしまう哀れな男をも演じているからです。そして化け物のような魔性の女ジリー,とその娘でヒロインのエイヴリー,ジリーの妹でエイヴリーの叔母キャリー,ジリーとキャリーの母のローラなど,ヒロインの一家が抱える様々な,そしてすさまじいまでの家族の愛憎が大きなテーマとなって本書の柱となっています。
ヒロインのエイヴリーは,美人でスタイルがよく,犯罪アナリスト研修員としてFBIでも手柄を立てる才媛でもあり,コンピュータも得意ということなしのヒロインですが,例にもれず家族に問題を抱え,さらに銃で撃たれて子宮をなくしているという,女性としての悩みも抱えています。そこにモンクを追ってきたジョン・ポールと偶然の出会いがあり,いつしか二人は互いに経緯を抱き,ついにはロマンスに発展します。



あとは,サスペンスを味わうだけですが,さらに,ヒーローとヒロインがモンクとジリーに追われ,二度も崖からダイビングして命からがら逃げ出す様子や,エイヴリーの叔母キャリーたち女性3人がジリーとモンクの仕掛けた罠にはまり,家の周囲全部に爆弾の仕掛けられた人里離れた山中の別荘から逃げだそうと懸命に知恵を絞り合う様子など,アドヴェンチャーにも富み,そして,本作にも登場するノア・クレイボーンのとぼけた感じ,などなど読みごたえのある部分はたくさんあります。
原題の「Killjoy」は「興ざめな人」というような意味ですが「Kill-Joy」つまり「殺しを楽しむ」という意味にも掛けているのでしょうか。


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