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一夜のシンデレラ [リン・グレアム]

SHALOCKMEMO608
一夜のシンデレラ The Vengeful Husband 1998」
リン・グレアム 漆原  麗





震災後,なかなか読書環境が整わず,精神的にも無理がたたっていましたが,本作で久しぶりに一気読みをしました。
 リン・グレアムのロマンスですが,設定としては,再会ものとシークレット・ベビーものを組み合わせた作品です。
 ヒロインのダーシー・フィールディングは父に残された歴史的建造物を大切にしていますが,継母のマーゴから早く遺産になる建造物を売りはらってしまうように,暗に陽にちくちくといじめられています。父の遺言では,遺産を相続するには結婚して半年以上夫婦としてすごさなければ遺産を受け取ることはできないとされています。
ダーシーには,数年前にヴェネツィアで出会った男性との間に一粒種のヴェネツィアがいます。しかし相手の男性の素性も,名前すら知らないままヴェネツィアを離れてしまったため,父親を娘に会わせることもかないません。
 ヒーローのジャンルカ・ラッファカーニ(通称ルカ)はイタリアの名門一家の相続人で大金持ち。数年前に一晩だけ付き合った女性が自分の元を去るとき,家宝の宝石を盗んだという証拠を持っており,その宝石を追って数年間苦労してきました。やっと相手がわかったとき新聞に変わった広告,つまり夫を求める広告を見つけ,その広告の主が自分の宝石を盗んだ相手だということが分かります。事情を隠して広告の主のところを訪ねたルカは,ダーシーと再会するのですが・・・。
 二人の状況的なすれ違いと互いを求め合う気持ちのギャップを作者は見事に描き切っています。このずれの面白さ,緊張感,そしてロマンスの妙。これらが本書の読みどころであり,大団円では読者をほろりとさせます。小編にして二人の気持ちの動きを見事に描き切った力作です。


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