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戻っておいで [キャサリン・ジョージ]

SHALOCKMEMO612
戻っておいで Come Back to Me 1989」
キャサリン・ジョージ  Cathrine George 上村悦子





 キャサリン・ジョージの復讐譚。
ヒロインが会社の社長秘書の面接試験を受けるところから始まります。妹の産んだ子供を引き取って暮らすジュリアは,この会社の経営者の弟が妹を妊娠させた上,妹を捨て,生まれた子供のサムを引き取らないで自分だけ幸せな結婚生活を送っていることから,この会社に入りこみ,復讐を遂げようとします。
 社長のマーカス・ラングは紳士的ではあるものの気難しく,一度目の面接でも,現在の秘書ミス・ペニークックが完ぺきにこなしている秘書業をしっかり引き継げる人物かを冷静に見極めようとしていると,ジュリアは思っており,面接後にさらに呼び出しを受けたとき,二次面接だと,半ばあきらめた気持ちを持つのでした。しかし,そこで採用になったことを知らされ,復讐の幕がやっと開いたことで気持ちを引き締めます。ジュリアは甥のサムの住む家の2階をマレー夫妻と娘のデイジーに貸しており,復讐のことはこの夫妻にしか話しておりません。仕事を引き継ぐまでの一カ月ミス・ペニークックはジュリアにボスとしてのマーカスについていろいろと話しますが,仕事のこと以外の個人的なことについては,主に会社の事務員のスーから昼食の時に聴きとるだけでした。そして,営業部長でマーカスの弟であるギャレット・ラングに会う機会もなかなかないまま数カ月が過ぎていきます。なんとかそつなく仕事がこなせるようになったころ,マーカスは少しずつジュリアの個人的なことにも興味を示すようになっていき,サムの存在,復讐のことを知られないように気をつけているジュリアとの間に虚々実々の言葉の応酬があり,本書の魅力にもなっています。そして,ラング家の家族パーティに招待されたり,社のクリスマスパーティでマーカスの相手役をさせられたりするところが,心理サスペンスのような緊張感があり,作品の質の高さが感じられます。互いの気持ちのすれ違いや,復讐の成否を乗り越えて,二人はどんなふうにロマンスを実現していくのか。ロマンス度はかなり低いものの,かなり感情移入させられてしまう一品です。


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