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華麗なる幕開き [MIRA文庫]

SHALOCKMEMO616
華麗なる幕開き Command Performance 1987」
ノーラ・ロバーツ  Nora Roberts  norarobaerts.com 木色 佳名





「愛の国コルディナ」シリーズの第二弾で再読です。
今回のヒーローはコルディナ国の皇太子アレクサンダー・ビセット。ヒロインには前作のヒロイン,コルディナ国王女エリザベス(ブリィ)の親友の妹で,劇場プロデューサーのイヴです。前作から七年後。前作ですでに本作のヒーローとヒロインは出会っているのですが,その後,二人が会う機会はありません。コルディナ国の国立劇場のこけら落としの演劇に選ばれたのはアメリカで活躍するイヴの劇団。独立心が強く,多くの才能を持つイヴですが,今は自分の劇団の運営に全精力を傾けています。前作の最後でヒーローの弟王子ベネットの命を救ったイヴですが,当時16歳だったイヴはアレクサンダーを堅苦しく,いずれ王国を継ぐものとして責任感あふれる人物という世間の評判の他に,アレクサンダーのもつ内面の思いやりの深さや寂しさを感じ取っていたのでした。プレイボーイであるベネットとは,事件の時以来互いに心を許す親友としての感情は持ったものの,男女の愛情を感じることはできない関係でした。しかし表面的にはベネットとイヴは互いに軽口を言い合える恋人のように見られており,アレクサンダーも皇太子とアメリカの民間女性という関係から一歩踏み込んだ関係は許されないものという心の壁を築いていたのでした。そんな時イヴがコルディナ国に劇団を引き連れてやってきており,皇太子であるアレクサンダーはその劇団の公演の責任者としてふたりは互いに出会う機会が多くなります。次第に互いの想いに気付いていくものの,どうしようもない身分的相違を崩せないままになります。父王であるアルマン大公がフランスで爆弾事件に巻き込まれ,義理の兄のリープが警戒を強めていく中,イヴのもとに謎の電話がかかってきます。アレクサンダーや王家の人々の身を案じていくイヴですがまさか自分が狙われることになるとは思いもよりませんでした。そして劇場で起こった爆発事件。さらには,宿敵デュボクの放った刺客により,イヴはアレクサンダーをかばって銃弾に自分の身をさらし大けがを負ってしまいます。さて,二人の運命やいかに・・・

 「アメリカでは,人間をものとは考えないわ。尊敬,称賛,愛情といったものは,それに見合う努力の結果得られるのよ(166p)」というイヴの言葉に,国民性と男女の性差にかかわらない人間としての生き方が見事に表現された傑作です。

 
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