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シークと純真な秘書 [スーザン・マレリー]

SHALOCKMEMO620
シークと純真な秘書 The Sheik and the Virgin Secretary
(アラビアン・ロマンス 10) 2005」
スーザン・マレリー 中野 恵





「サマー・シズラー 2011 恋がきらめく王宮」所収。スーザン・マレリーの砂漠の王宮の物語。今回は舞台はすべてアメリカ国内であり,異国情緒は登場人物にもほとんど感じられない。
ということで,シークものとは厳密には言えないかもしれません。
企業の経営者でシークのラフィクは,砂漠の国ルチア・セラーのプリンスです。バハニア国やエル・バハール国とも親戚関係になっているルチア・セラーですが,プリンスはアメリカで企業経営に携わっており,帰国するのも数年先と考えています。
ラフィクの秘書,カイリー・ヘンドリックは,エリックとの結婚式を前に,エリックの浮気の現場を目撃してしまい,直前に結婚式をすっかりキャンセルしてしまいます。そして,自分の今後を考えたとき,エリックから受けた心の傷跡を癒すことと,エリックに復讐するために,雇い主ラフィクの愛人にしてほしいと,ラフィクに懇願します。これまで秘書としてしかカイリーを見てこなかったラフィクは,ハンサムで富豪,しかもプリンスということで,花婿候補としては引く手あまた。しかしまだ結婚には早いと考えています。エリックへの復讐というカイリーの言葉を受けて,カイリーを女性として注意深く見てみると,改めてその意志の強さと女性的な美しさに気付くラフィクでした。しかし,カイリーと会話している中で元フィアンセのエリックとカイリーの間にはまだ男女の関係が成立しておらず,カイリーがバージンだと知ったラフィクは,愛人の申し出よりも,カイリーとの関係に慎重に,カイリーを傷つけないように最大限の配慮をするのでした。

 さて,エリックはカイリーを失ったことを知り,何度となくカイリーの前に現れ,ラフィクは君にはふさわしくないのでもう一度二人の関係を考え直してくれと,しつこく迫りますが,いかにも未練たらたらで,読者の怒りを買う設定になっています。これほど情けない男も珍しいと思われるように…。一方ラフィクも,実母が自分を産んだ後自分の面倒を見ようとしなかったことや,父の国王からも子供として面倒を見てもらってこなかったことで,人を愛する気持ちを素直に表すことができません。次第にカイリーがラフィクを愛するようになっていく一方で,ラフィクはついには「愛している」の一言を言い出せぬまま,カイリーが妊娠したと知ると結婚を申し込みます。
 愛人ならばいざ知らず,愛のない結婚はしたくないと頑なにラフィクのプロポーズを断るカイリー。二人の関係はどうなるのか…。
 ラフィクとカイリーの気持ちのすれ違いが見事にストーリーにスピード感を持たせ,マレリーらしいロマンスの世界を作り出している傑作です。


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