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騎士から逃げた花嫁 [ヒストリカル]

SHALOCKMEMO621
騎士から逃げた花嫁 From This Moment On 2002」
リン・カーランド  Lynn Kurland  lynnkurland.com 旦 紀子





De Piaget series」の第2弾です。
勇猛果敢で知られる騎士コリン。イングランドで最も怖ろしい騎士とも言われるコリンの元へ嫁ぐように定められたソロングのエレオノールは,兄の拍車と鎖帷子を盗み,騎士見習いの少年の振りをしてメニュレイ・シュル・メールの娘,シビルとともに,花嫁の付き添いとしてイングランドに渡ります。しかし,嫁ぎ先が自分が逃げ出した相手であるコリンであるという運命の悲劇が待っていました。
本作では3人の魔女やド・ピアジェ家の人々,関連するシリーズの面々も登場し,登場人物の多さがこのシリーズの特徴といってもいいでしょう。しかし一人一人の作中の役割や性格がかなり明確に描き分けられているので,混乱することなく読み進められていくことを取り上げても,リン・カーランドの筆力の素晴らしさが実感できるのではないかと思います。
イングランド一の剣の使い手で,無骨な顔立ちのコリンに対して,その秘められた優しさと愛らしさに気付いていくエレオノール(男装のアンリ)ですが,コリンもまた,少年の外見にとらわれずに見つめたときのエレオノールの美しい顔立ちと,勇敢な気立てに敬意を感じ,自分から逃げだした花嫁が実は少年の格好をして自分の手元にいることに気付いたとき,自分が嫌われていないことを祈るのでした。
 表紙のモデルのようにエレオノールは凛々しく中性的な魅力を持った外見をした女性なのでしょう。しかしコリンが外見だけではなくエレオノールの女性ながらも自分を律し,男性にも負けない勇敢な態度に完全に参ってしまうのです。そして心を許しあったのちの二人の会話がとても魅力的です。
 敵役のエティエンヌとエレの義母マリーの根性の悪さには全く嫌気がさしてしまいます。

このあたりの人物造形も敵役の役割を十分果たすための誇張めいた表現であることはわかるものの,すっかり読者を引き込んでしまう作者の筆力には驚かされます。
 600ページを超える大作ですが,その世界に引き込まれること間違いなしの力作です。


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