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砂漠よりも熱く [コンテンポラリー]

SHALOCKMEMO636
砂漠よりも熱く Hunter 1990」
ダイアナ・パーマー  Diana Palmer  dianapalmer.com 上木さよ子





 昨年秋以来のダイアナ・パーマーの読了です。毎月更新しているつもりでも,なかなか全部に目を通すことができないことが,こういう多作家の場合は特に目立ちますね。
 さて,物語ですが,地質調査員,つまり石油や鉱石などの地層を調べ,新しい埋蔵場所を発見するプロの技術員として優秀な働きをしているジェニファー・メアリストがヒロインです。メアリスト姉妹・シリーズの第2弾,前作は「キスして,王子さま(HQB-369)」です。
 本作の特徴はなんといっても,ヒーローのハンターがネイティブ・アメリカン,しかもアパッチ族の男性と白人女性とハーフだというところでしょう。舞台になるのもこのネイティブ・アメリカンの特別保護区と隣接する砂漠であり,ヒーローのハンターは生い立ちの中で母親に捨てられたために白人女性との結婚にかなりの抵抗感があり,ヒロイン・ジェニファーを愛してしまってはいけないと何度も自分に言い聞かせて苦しむ,という葛藤が物語の中心にもなっています。ハンター自身,アパッチとしての誇りと,白人とのハーフであることから,どちらの世界にも本当の自分の居場所を見つけられないでいるという思いも抱えています。それだけに,プロの保安責任者として優秀で信頼されているわけですが,ヒロインを思う気持ちから,ミスをしてしまい,後悔して,さらに自らをヒロインから遠ざけてしまうというストーリー展開にもなるわけです。
 一方のジェニファーについても,地質調査員という男の社会の中でなかなか自分の存在を認めてもらえないという気持ちを常にもち,外見の美しさや知性の豊かさをもちながらも男を寄せ付けないという面があることに悩んでいます。そんな二人の出会いは,常に互いを非難する言葉の応酬になってしまうのですが,もっぱらヒロイン側がハンターへの想いの強さを抑えきれなくなるという展開が通常のロマンス小説とは逆の立場になっていることで,ダイアナ・パーマーらしく,理想の男を描き切る作風が見事に結実した作品として,座布団2枚という感じの作品に仕上がっています。


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