未婚の母になっても [リン・グレアム]
SHALOCKMEMO637
「未婚の母になっても Contract Baby 1998」
リン・グレアム 槇 由子
母の手術費用を稼ぐため代理母になることに承諾したポリー。しかし,そんな思い切った行動をとったものの,母は亡くなってしまい,残ったのはお腹の中の子供。愛情深いポリーはこれまで注いできた母に対する愛情を,生まれてくる赤ん坊に注ごうとするのは当然のことではないでしょうか。そこで,依頼主であるラウルから逃れるために,友人のところに身を隠します。ベネズエラの富豪であり,子供は欲しいが結婚はしたくないと堅く思っているヒーローのラウル。二人の間に生まれた息子ルイスは果たしてどちらの手元に…。
そんな設定の本書ですが,ポリーもラウルもどちらも幼少期の親の愛情に恵まれずに育った過去をもちます。しかし,男であるラウルは代理母候補者であったポリーのことを人の手をつかって徹底的に調べ,女であるポリーはラウルのことを直感的にしか理解しようとしません。そんな構図がラウルの愛情を信じられないポリーの行動に表れ,そんな行動をとるポリーをラウルも理解できないというストーリー展開に発展していく,ロマンス小説でありがちな展開になっていきます。
原題の[Contract Baby]は直訳で契約上の赤ちゃんとなります。それを「未婚の母になっても」とポリーの立場で邦題にしているのですが,「代理母になっても」としてしまわなかったのは,ハーレクインにとっては,ちょっと露骨な邦題になってしまい,売り上げに影響するのを避けたのでしょうか。
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