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ちぎれたハート [ダイアナ・パーマー]

SHALOCKMEMO653
ちぎれたハート The Patient Nurse
( Man of the Month 54 ) 1997」
ダイアナ・パーマー 竹原 麗




HQB-417
12.01/¥650/206p

D-0761
98.09/¥641/156p


 新年最初はやはりダイアナ・パーマーで幕を開けたいものです。ダイアナ・パーマーは「Man of the Month」シリーズに2作品上梓していますが,本作と「Nelson's Brand」です。
 ヒロインのノリーン・ケンジントンは医学部に進めるほどの豊富な知識と患者に対する暖かい情熱をもっていますが,看護師の道を選び,看護師長として病院に勤務していますが,自ら心臓の弁に問題を抱え,それを周囲の人々には隠したままハードは夜勤勤務に耐えています。実は両親をすでに亡くし,引き取られた伯父伯母からは冷遇され,その娘でありノリーンにとっては従姉妹にあたるイサドラからも折に触れて意地悪をされていたのです。男性の目を引きつけずにはおられない美貌の持ち主であるイサドラですが,実は狭量で自分以外の人や物に愛情を感じることのできないわがままな娘だったのですが,伯父伯母はイサドラとノリーンを比較し,イサドラに対する甘やかしとノリーンに対する冷遇を続けていたのでした。そして,天才的な手術技能をもつ外科医のラモンとイサドラが出会ったとき,ラモンはイサドラの美貌に惹かれ,結婚するのですが,そのときノリーンもラモンに対して深い愛情を感じたものの美貌では自分が決してイサドラに叶わないことを知っており,ラモンに自分の気持ちを伝えることなく二人を祝福するのでした。しかし,後半で語られますが,結婚後のイサドラとラモンの間の愛情もほんの数カ月しか続かず,イサドラは夫以外の恋人をもち,二人の関係は冷え切っていったのです。あるときラモンが出張でヨーロッパに出かけ,体調を崩していたイサドラの看護をノリーンに託していったのですが,イサドラは自分を出張に連れて行かなかったラモンに腹を立て,わざと雨の中ベランダに出て体を冷え切らせるという子供じみた行動に出た挙句,肺炎を起こして亡くなってしまいます。このときノリーンの心臓の病が出て,イサドラの介護ができないまま入院して治療を受けざるを得なくなったノリーンがやっとの思いで駆けつけたときには,イサドラはすでに亡くなり,出張から戻ったラモンやイサドラの両親からノリーンが看護を放棄したためイサドラが亡くなったのだと激しく責められるのでした。
  それから2年後,医師と看護師という関係のノリーンとラモンは時折病院で顔を合わせることになりますが,出会うごとにラモンはノリーンの看護師としての職務の怠慢をなじり,ことあるごとにイサドラが亡くなった責任を思い起こさせていたのですが,ノリーンの病状も次第に悪化し,体調の悪さにラモンが気付いた時にはすでに手術をしなければならないほど病状が悪化していました。自分を憎んでいるラモンの手ではぜったいに手術を受けたくないと思っていたノリーンですが,偶然救急車で運ばれ,身元不明のまま手術を執刀したのはラモンでした。心臓が悪いことに気付かなかったラモンも,そのとき初めてノリーンが2年まえ,イサドラの看護をわざと放棄したのではないのではないかと思うようになります。そしてこれまでのノリーンの行動が自分が思っていたのとは全く違うのではないかと思い始めました。できるだけノリーンの力になりたいと思い始めたラモンにノリーンが返した言葉は,あなたの世話にはなりたくないという言葉でした。それから,二人が和解していけるのか,伯父伯母とノリーンの関係はどうなるか,ここが本作の読みごたえのあるところです。人は思いこみでどれだけ人を知らず知らずに傷つけることができるのかを追求した,ダイアナ・パーマーらしい深い1作です。


タグ:ディザイア
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