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遅れてきた初恋 [コンテンポラリー]

SHALOCKMEMO656
遅れてきた初恋 Too Good To Be True 1991」
ヴィクトリア・グレン 神津ちさと





 考古学専攻の大学院生アシュリは,尊敬する考古学者エドワードとの失恋を癒すため,アリゾナ砂漠の発掘現場からコネティカット州のエルムグローブに帰郷します。家では姉ヘレンと幼馴染のカイルとの婚約パーティが開かれているところでした。姉妹の父チャールズ・ウィンゲートと不動産開発業者カイルの父のジョナス・ハミルトンは古い友人で,共にエルムグローブの旧家。ウィンゲート家とハミルトン家が結ばれることはチャールズとジョナスの長年の夢でした。しかし,婚約しているはずのヘレンとカイルの間にはアシュリが想像していたような親密な愛情が見えません。二人とも愛情よりは家同士の結婚という両家の父親の気持ちを尊重しての便宜的な婚約だったのです。アシュリは失恋したばかりでもあり,美貌で有名な姉と比べて自分が目立たない存在だと思い込んでいます。そんな自分にカイルが関心を寄せるようなそぶりをすることが不思議でなりません。さらには,姉のヘレンは自分の肖像画を描くという若い貧乏画家の元へ何度か通っている雰囲気です。
 そんなとき,アシュリの父が心臓に不調を訴え,倒れてしまいます。姉のヘレンは出かけたきり連絡が取れません。動揺するアシュリを助け,励ましたのはカイルでした。カイルも美しく成長したアシュリに,婚約者のヘレンよりも愛情を感じるようになっていたのでした。遂にヘレンは画家のサイモンと出奔し,病床の父とカイルは驚くべき会話をしたのでした。
 幼いころから姉への劣等感で自分の気持ちを抑えることに慣れていたアシュリが次第にカイルによって素直に愛情を表現しようと変化していく爽やかな成長譚です。


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