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愛と復讐の黒騎士 [コニー・メイスン]

SHALOCKMEMO664
愛と復讐の黒騎士 The Black Knight 1999」
コニー・メイスン 藤沢 ゆき





 ヒストリカル・ロマンスの大御所コニー・メイスンの本書を読了しました。今月,電子書籍リーダーのソニー・リーダーPRS-350を購入し,電子ブックを検索しているところで,扶桑社ロマンスではこのコニー・メイスンがヒットしました。そういえば,蔵書に何冊か未購入のものがあったので,本作をダウンロードして読み始めたところ,文字の大きさの調整,低価格,そしてページ数が表示されるのでどの辺まで読んだのかを紙ベースと同じように把握できることなど,その便利さにうなってしまったところです。続けて未購入だった「獅子の花嫁」と「愛は砂漠の夜に」もダウンロードしました。しばらくは,本よりもリーダーを手に取ることが多くなりそうです。
 さて,1336年のウェールズ。騎士見習いとしてナイル卿の城チャーク城に異母弟ワルドーとともに預けられたドレイク。庶子として育ち,ワルドーの従者となるべく共にチャーク城に赴くのですが,それから7年後,17歳のドレイクは異母弟から無名のドレイクとか庶子であったためサー・バスターなどと侮蔑的な名前で呼ばれていますが,チャーク城の跡取り娘ダリアを愛してしまいます。しかしその妹,次女のレイヴンはドレイクに好奇心を持ちアクションをかけてくるのでした。ワルドーと婚約していたダリアはワルドーの気を引くためあえてドレイクにも気のあるそぶりをするのですが,庶子で将来性のないドレイクは最後の手段としてダリアに駆け落ちしようと持ちかけます。しかしダリアの側にその気のないことをレイヴンからは指摘されるものの,ドレイクはしつこいレイヴンの言葉を信じようとせず,チャーク城を出奔してしまいます。
 それからさらに12年後。チャーク城の馬上槍試合に現れたのは黒騎士となったドレイク。国王の王弟,黒太子の盟友であり武勇にふれる黒騎士と歌われるようになったドレイクでした。その頃には,ワルドーに嫁いだダリアもなくなり,レイヴンも妙齢の女性に成長しています。黒騎士がドレイクだと気づくまでに時間がかかったレイヴンですが,ドレイクだと知るや,自分が幼少の頃から抱いていたドレイクへの思慕が再燃するのでした。しかし,ダリアを亡くしたワルドーはレイヴンとの婚約の許しをローマ法王から取り付け,まさに結婚式まで秒読みの段階だったのです。ワルドーを嫌って,姉の死因にも不自然さを感じていたレイヴンは黒騎士ドレイクに救いを求めます。そこから,ドレイクの心の中でダリアらからレイヴンへの気持ちの移り変わりがいくつもの小さなプロットを絡めながら,どろどろの三角関係へと発展していきます。そして終末には,ワルドーのそれまでの悪巧みの数々が次第に明かされ,最後は天王山の明智光秀のように盗賊に襲われて命を失ってしまうまで,ワルドーの存在感は本書の中では圧巻です。このような敵役を徹底的に悪者にしていくコニー・メイスンの筆力は骨太で,ストーリー・テラーとしての面目躍如たるものがあります。


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