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薔薇のレディと醜聞 [キャロル・モーティマー]

SHALOCKMEMO669
薔薇のレディと醜聞 The Rakes Wicked Proposal 2009」
キャロル・モーティマー 古沢絵里





 引き続き「セントクレア家の華やかな恋物語」を読みました。第2弾の本書はセントクレア家の次男,ルシアンがヒーローです。ワーテルローの戦いで自らは生き残ったものの,親友や部下の死を目の当たりにしたルシアンは,悪夢にうなされる毎晩が続いています。そのためすっかり社交界でも家族の中でも口数が少なくなり,公爵家の次男であるにも関わらず結婚はすっかりあきらめています。毎晩悪夢にうなされる夫など,誰も見向きもしないだろうとすっかり思い込んでいるために。
 そんなルシアンが戦死した親友の家族とある宿屋で遭遇します。そして,自分を責めようとしない親友の父親ジョージ・ウィンターとの会話で深酒をあおった彼が自分の部屋だと思って入り込んだのは,ウィンター家の姪,グレース・ヘザリントンの部屋でした。そこをジョージの妻マーガレットに出くわしたルシアンは,グレースの名誉を守るために結婚することにします。
 グレースにしてみれば,初めてであった男性とまともにはなしもしないうちに婚約を決められ,しかもそれは社交界での自分の名誉を守るためであり,男性は自分のことを愛してもいないのだと言うことに腹を立て,なんとか婚約を解消しようと考えます。そのため,いったんは承諾したように見せかけ,結婚式までの間に自分に愛想を尽かせて婚約解消に持って行きたいと考えたのでした。両親をそろって亡くし,叔父叔母の元に身を寄せるグレースですが,ウィンター家のジョージの弟フランシスは,グレースとの結婚を狙っていました。それは,グレースの持参金を当てにしていることは間違いないのですが,フランシスの人柄にほとほと嫌気がさしていたグレースは,ルシアンとの婚約はフランシスに自分をあきらめさせるにはいい方法だという思いも持っています。さらに,ルシアンとフランシスの上の兄ダリウスとは,幼少からの親友でした。ダリウスの妻は事故で亡くなってしまっていました。さらにジョージは持病の心臓の病で突然死してしまいます。次々にウィンター家を襲う災難に,グレースはダリウスが怪しいと考えるのですが。
 ルシアンとグレースの舌戦も見事です。いつしかグレースの夢を見るようになり,悪夢を忘れつつあったルシアンは自分がグレースに惹かれ始めていることには気づきますが,心の傷が癒えていないことから,素直に愛の言葉をいうことができません。グレースはルシアンの態度が自分を欲してはいるだろうが愛してはいないと思っています。二人の距離感が徐々に縮まっていく過程と,ウィンター家の災難の秘密が絡み合って,後半はロマサスの魅力が満載です。「どんなときも,そしていつまでも・・・」二人が交わす愛の言葉に思わずほんのりさせられる名作です。


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