心やすらぐ緑の宿 [ノーラ・ロバーツ]
SHALOCKMEMO
「心やすらぐ緑の宿(海辺の街トリロジー 2) Born in Ice 1995」
ノーラ・ロバーツ 清水はるか
三部作の第二部にあたります。前作でも登場したマギーの妹ブリアンナは,BアンドB「ブラックソーン・コテージ」を独りで切り盛りしています。姉マギーがガラス芸術家としての才能を持っているのに対して,ブリアンナ(ブリー)は料理人としての才能,そして人の世話をする才能に恵まれ,コツコツとお金を貯めながらコテージを改修し,次第に居心地のいい領域を広げています。そんな,ブリアンナの元を訪れた長期宿泊者は,アメリカのミステリ作家グレイソン・セイン( Grayson Thane )です。
両親の愛情を受けず路上生活を送った経験を持つグレイソン(グレイ)の定住先を持たない生活スタイルと,母親からの愛を受けずに育ったにもかかわらず,宿泊客に対して常に居心地の良さを心がけるブリアンナ(ブリー)の生活スタイルのちがいが,惹かれ合いながらも二人の心がなかなか一緒になりにくいことを冒頭で掲げ,紆余曲折を経てグレイが自らの生活スタイルを愛のために変えるのかという興味が,読者を700ページの大作の最後まで牽いていきます。
前作で謎とされた父親が購入した株券の裏話が意外なところと関連して出てきたり,マギーとローガンの赤ん坊を周囲の人々みんながかわいがったり,屋根裏部屋から見つかった亡き父の恋人アマンダの行方など,サイドストーリーを織り交ぜながら,ブリーが交通事故に出来事を挿話としながら,前作にも登場した周辺の人々が随所に顔を出し,ブリーとブリーの視点から見たストーリーが描かれます。
ところで,このBアンドBの描写には,おそらくノーラ自身が関わっている「 Inn Boons Boro 」が活かされているのではないでしょうか。
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