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招かれざる公爵 [キャサリン・コールター]

SHALOCKMEMO688
招かれざる公爵 The Duke 1981」
キャサリン・コールター 杉本ユミ





ほぼ1年ぶりのキャサリン・コールターです。しかもヒストリカル。これまでも,コールターのものはヒストリカルを中心に読んできましたが,コンテンポラリーよりも,安定しているように思います。
ヒロインはスコットランドのペンダーリーという館の娘ブランディ18歳。3姉妹の長女ですが,次女のコンスタンスは美貌の16歳。末娘のフィオナはまだ幼く,何かと背伸びしたがるコンスタンスよりフィオナの母親的な存在です。ヒーローのポートメイン公爵イアン・カーマイケルは,婚約者のフェリシティとの結婚が間近になって,社交界で振り回されるのを嫌って,ペンダーリーの伯爵位を継いだことを理由にイングランドからスコットランドにやってきます。3姉妹の後見人となったイアンですが,ペンダーリーの複雑な人間関係に驚きます。前伯爵の未亡人レディ・アデラ。その甥のクロードとバートランド。ブランディたちの従兄弟のパーシーなど爵位の相続をめぐって複雑な人間関係の中を泳ぎながら,純粋で自分の美貌に気づかないブランディに次第に惹かれていきます。ブランディもまた大男でたくましく男らしい頑固さを持つ一方,優しさを併せ持つイアンにどんどん惹かれていきます。事件といえばこのペンダーリーにイアンの心変わりを心配したフェリシティがイアンの従兄弟のジャイルズとともにペンダーリーを訪れたところで一気にヒートアップし,誰かがイアンとブランディを銃で狙い襲うところで頂点に達します。互いを犯人ではないかと虚々実々の駆け引きをするペンダーリーの人々。そして,けがをしたイアンの看護をしていたブランディとの間にイアンの前妻マリアンヌの影が。次第に進展していくいくつかのロマンスが物語の進行役となり,それぞれの人物が巧みに描かれていく傑作です。


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