光と闇のプリンス [レイ・モーガン]
SHALOCKMEMO690
「光と闇のプリンス(失われた王冠2) Royal Nights 2003」
レイ・モーガン 山田沙羅
シリーズ・第2作。王家の三男ダミアン王子と理学療法士サラ・ジョプリンのロマンスです。モーターボート競技でボートが転倒した事故で失明した王子に許に,理学療法士のサラがやってきます。王家の一族はまもなく故国に帰り,ナボタビア国の政権に復帰するための準備をしているところですが,兄弟・姉妹それぞれが政権をとった後の役割を決めているようです。ダミアンは財政担当相となる予定ですが,失明が回復しない限り,一族の役に立てなくなることを心配し,投げやりな気持ちになっています。失明の回復の希望はまだ残されているものの,暗闇の中での生活を少しでも前向きにできるように訓練しようとやってきたサラの言うことを受け入れようとしません。サラの粘り強い取り組みに少しずつ心を開いていくダミアンですが,そもそも起こるはずのないボート事故や,身辺に起こるいくつかの気になる出来事の犯人の可能性のある,兄弟同然に育ったシェリダン男爵との関係悪化が浮上してきます。そしてアリゾナの一族の邸宅で開かれるパーティでダミアンの婚約が発表される予定であることが,ダミアンに好意を感じていたサラの知るところとなるなど,二人のロマンスに暗雲が垂れ込めますが,パーティは無事終了し,サラは妹の出産の手伝いをするため,家に帰ります。しかし,二日後サラの家を訪れたのは,ダミアン王子でした。第1作で登場したカリナ王女のお相手ジャックが謎の解明にもう少しかかわってくるのかと思いましたが,それよりも,いつもユーモラスに登場するガビニ公爵の存在が暗くなりがちな本作のストーリーに,不思議な光をもたらしてくれます。そして次兄ガースのお相手もすでに本作に登場するなど,シリーズ中の作品間の関係もあちらこちらにヒントが隠されていて楽しめます。
コメント 0