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偽りのプリンセス(失われた王冠 最終巻) [レイ・モーガン]

SHALOCKMEMO693
偽りのプリンセス (失われた王冠 4) Counterfeit Princess 2003」
レイ・モーガン 雨宮幸子





シリーズ最終巻。エピローグでは,最終巻らしく,第1作から最終巻までのそれぞれの主人公や登場人物たちのその後が描かれ,大団円となっています。さて,本作のヒーローは,長男で皇太子,そして王国で国王に即位する予定のマルコ・ロゼアノバです。ヒロインはマルコと結婚することにより自動的に王妃となるわけですから,これまでのように比較的自由に,愛によってのみ結婚できるというわけではない運命です。そこで,今回作者が用意したのは,すでにマルコとの縁談がすすみ,候補として挙がっている某国王女の素行が悪く,ロゼアノバ王家には大恩のある人の娘であるにもかかわらず,その居所さえ掴めていないアロビティア国のイリアナ王女の身代わりとして,イリアナによく似たシャノン・ハーパーという,レストランでウェイトレスのアルバイトをしている大学院の学生でした。イリアナ王女の王室付き女官と王室の伯爵によって仕立て上げられたこの身代わりは,当初ナボタビアの舞踏パーティに出席するというところまででしたが,ドタバタといろんな状況の変化があり,シャノンが身代わりになるためにレッスンを受けていた牧場をマルコが訪れることになり,急速に二人の間に惹きあう思いが募っていきます。マルコの前妻との間の二人の子供ピーターとキキも登場し,新しいママになるならシャノンがいいなどと言い出す始末。愛だけを取るなら逃げ回っているイリアナよりもシャノンの方が望ましいという気持ちと,王国の王妃として大恩ある人の娘を娶らなければならないという事情のあいだで,マルコの気持ちは大きく揺れ動きます。そのためマルコとシャノンの二人の関係はなかなか進展しないのですが・・・マルコはこのジレンマからどのように抜け出そうとするのかが,終盤の最大の山場で,作者はなかなかすてきな結論を用意しています。途中,シャノンがナボタビアを代表する画家の作品を展示している美術館へマルコを連れて行き,丁寧に解説していく場面や,シャノンの両親が判明していく部分など,無理やりマルコの決断を示すのではなく,読者が納得するようにエピソードを積み重ねていく手法はとても読みごたえがあります。さらに,マルコの従僕のジョーダンやシリーズ全体を通じて王家の若者たちの恋を後押ししていく叔母や公爵など,名脇役たちがシリーズには欠かせない存在になっています。


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