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身代わりの侯爵夫人 [アン・ヘリス]

SHALOCKMEMO695
身代わりの侯爵夫人 Bartered Bride 2011」
アン・ヘリス 長田乃莉子





性格の正反対の双子の姉妹,シャーロット(ロティ)とクラリス。父親の賭けの負債の代わりに差し出されたのは初めは妹のクラリスの方だった。ところが,クラリスは紳士のポケットから貴金属を失敬して出奔してしまう。瓜二つの姉のシャーロットは,身代わりにロスセー侯爵ニコラスの許にクラリスと偽って向かうことにする。約束を果たさなければ,父親も妹も監獄に行く羽目になってしまうからだった。という出だしで始まる本作ですが,外見が全く同じで性格が正反対の双子という設定が,本作の中心となるプロットです。
「愛なんてものは作り話だ」。かつて女性に裏切られた経験から,愛を信じられないニコラスと,便宜的な妻になり切りたいと思いつつもニコラスに次第に惹かれていくロティ。素直に自分の気持ちを互いに伝えきれない二人の関係が続きますが,結婚後も身の回りで様々な不審な事件が起こります。そして,ロティや伯母のベス・ホスキンスに密かに金品をたかりに来るクラリス,ニコラスのかつての恋人レディ・エリザベスの登場など,二人の関係をこじらせる要素がふんだんに提供されますが,それらの事件を通して,さらに二人は互いに離れがたい気持ちを抱きつつも素直にそれを口にすることができずにいます。読者をイライラ,はらはらさせながらも,二人が互いの愛に早く気付いていってほしいという思いを徐々につくりあげている,作者らしい好著です。


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