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金の砂漠と白い雪 [メイシー・イエーツ]

SHALOCKMEMO715
金の砂漠と白い雪 Hajar's Hidden Legacy 2012」
メイシー・イエーツ 馬場あき子





ハジャール国のシーク,ザーヒル・サアドゥッディーンは,数年前に一族が襲撃された事件で,王族として唯一生き残ったが,顔や全身に深い傷を負い,野獣と呼ばれるようになってしまう。フィアンセのアマーラは,ザーヒルの変わり果てた姿に耐えられず,ザーヒルのもとを去ってしまう。自分だけが生き残ってしまったという罪悪感と,人を愛する心を失ってしまったザーヒル。そのザーヒルのもとに,オストリッヒ国の王女カタリーナ・ラウフが訪れる。砂漠の国のシークと北国オストリッヒの王女カタリーナ。この二人は両国で交わされた協定をもとに,婚約し,結婚する状況にあった。光のようにまばゆい美貌と男勝りの強い気質を持つカタリーナ。野獣と呼ばれ,国事を宮殿のなかでひたすらこなし,人目を避けて暮らしているザーヒル。二人にはこの結婚がたがいの国の状況に有利になるという,ロイヤルファミリーとしての義務感から出会うことになる。もともとカタリーナはザーヒルの兄である故マリクとの婚約が予定されていた。しかし亡きマリクとカタリーナは深く付き合ったわけではなく,愛してもいなかった。ザーヒルと出会ったカタリーナは,ザーヒルが顔の傷だけでなく,心に深い傷を負っていることに気づく。傷を負ってもなお,カタリーナはザーヒルに魅力を感じ,他の人がザーヒルの顔をまともに見ようとしないのに対して,ザーヒルから視線を外すことなく,二人の結婚が両国に大きな利益をもたらすことを真剣に説得する。

宮殿のなかでの会話や,互いのことを少しずつ知り合うにつれ,ザーヒルはカタリーナから勇気を得て,宮殿外で人前でもパニックを起こすことなく過ごすことができるようになる。やがて,オストリッヒ国での二人の結婚式。式の前に国王である父とザーヒルとの対面の場で座をはずすように父から言われ,深い絶望を感じたカタリーナを,今度はザーヒルが慰め,結婚式でも大勢の人の前でもザーヒルはただカタリーナだけを心のよりどころとして無事に式を挙げることができた。砂漠の国に戻った二人。しかし,悪夢を見なくなったザーヒルとは逆に,カタリーナは悪い夢を見たと告げる。自分がカタリーナを愛していることに気づいたザーヒルは,このままでは,光のような存在のカタリーナが以前の自分のように悪夢にさいなまれることを恐れ,オストリッヒに帰るよう言葉荒く突き放す。3日後,もうカタリーナが帰ったであろうと予想して部屋に行ったザーヒルが目にしたのは,3日前と同じように部屋で過ごしているカタリーナの姿であった。カタリーナの悪夢がザーヒルを失うことであったことを聞いたザーヒルの口からでたのは,カタリーナへの愛の言葉であった。

美女と野獣を下敷きにしたメイシー・イエーツの作品。二人の心の交流がほとんどの部分を占め,大きな事件が起こるわけではないが,深い感動を呼ぶ作品。


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