伝説の国のプリンセス [トリッシュ・モーリ]
SHALOCKMEMO728
「伝説の国のプリンセス Forced Wife, Royal Love-Child 2009」
トリッシュ・モーリ 加藤由紀
トリッシュ・モーリの「あの夜に戻れたら」の姉妹編。女性ヘリコプター・パイロット,シエナ・ウェインライトは,パリで国際的投資家レイフ(ラファエル)・ロンバルディとめくるめく一夜を過ごす。しかしレイフは実は地中海の島国モンテベラッテ国の庶子の王位継承者だった。実子の二人が投獄され,モンテベラッテの王位を継ぐことになる。突然去ってしまうレイフ。しかし,その時,すでにシエナはレイフの子供を身ごもっていたのだった。王位を継いだレイフは王国の継承に関わる法律に従うため,名家の女子を妻としてめとらなければならない。その候補者母娘を島に運んできたのは,シエナだった。シエナをヘリポートで見かけたレイフは,すぐさまシエナを王宮に留める。レイフに妊娠を伝えなければと考えるシエナ。王妃候補者への嫉妬を抱えながらも冷静に対処しようとするシエナ。レイフは二重の悦びを感じるものの,「愛している」の一言を言えない生い立ちの秘密を抱えていた。実はシエナもレイフも父親から捨てられたという過去を背負い,二人とも母親をすでに亡くしていた。レイフは「人を愛してはいけない」という母の言葉から逃れることが出来ない。シエナは,すでにレイフを愛し始めている。二人はこの壁を乗り越えて結ばれるのだろうか。
女性のヘリコプター・パイロットという職業ながら,シエナは美貌,健康,賢明さを備えた女性。しかもレイフを愛している。そんなシエナにレイフは「立ち去れ」と言わざるを得ない。このカタルシスを解消するために,伝説の「野獣の山」を利用している筆者の構想のすばらしさが光る作品。
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