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時の扉とシンデレラ [ヴィクトリア・アレクサンダー]

SHALOCKMEMO751
時の扉とシンデレラ Yesterday and Forever 1997」
ヴィクトリア・アレクサンダー 琴葉かいら





「■目が覚めたらそこが19世紀だったら、どうしますか? 私だったらまず間違いなく正気を失ってしまうと思いますが(苦)、本作の主人公マギーはまさに、そんなタイムトラベルを経験してしまった現代女性。パソコンもテレビもなく、街を席巻するのはアンティークみたいな馬車と、コスプレかと見まがう服装の人々…! という世界に一人迷いこんだマギーはそこで、第7代リッジフィールド伯爵と名乗る、素敵な男性に出逢うのです。セクシーだけど頭でっかちの堅物伯爵と、常に前向きでユーモアを忘れないマギー。正反対の二人は惹かれあい恋に落ちるのですが、立ちはだかるのは“違う時代"という圧倒的な壁。果たしてこの、不思議で切ない恋の結末は? 夢とユーモアと涙がたっぷり詰まった、おすすめの歴史絵巻。著者の貴重な作家デビュー作です。(「BOOK」データベースより)」
ストーリーはこのとおりですが,マギー=マーガレット・メリッサ・マスターソンは,なかなかどうして,したたかな女性です。両親亡き後,姉のキャサリン(キキ)・マスターソンに育てられたマギーですが,最後には時の壁を克服するために上手にキキを利用しています。さらに,1818年の事件の中でエドワード・リンドリー卿とアダム・コールリッジとの確執に巻き込まれたマギーですが,この事件の解決場面が,本作の中で最も笑わせてくれる,そして感動を生む場面でもあります。さらに,アダムの妹リディアの存在が本作では欠かせません。タイム・トラベルものでは,時の壁のパラドックスをどう解決するかが作家にとって最大の難関ですが,本作では,リディアとキキを利用することで見事にこの問題を解決しています。周到に用意されたこの点が,本作の最大の魅力でもあり斬新さでもあるでしょう。そして,エピローグで読者を泣かせる素晴らしい場面が描かれています。「ようやく,自分の居場所を見つけたのだ。ようやく幸せを見つけたのだ。過去の・・・そして,永遠のどこかに」という結びの言葉は,本当に胸が詰まり涙が出ました。作者のデビュー作。どんなに時間をかけ,練りに練った作品かが分かる傑作です。


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