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罠におちたウエイトレス [キャロル・モーティマー]

SHALOCKMEMO761
罠におちたウエイトレス Rumors on the Red Carpet 2013」
キャロル・モーティマー 槇 由子





キャロル・モーティマーの作品は昨年の6月からの1年3ヶ月ぶり。最近はヒストリカルの作品の翻訳が相次ぎ,すっかりコンテンポラリー作家だということを忘れてしまうかのような翻訳ラッシュになっていますが,どちらのジャンルもそつなく,しかも高いレベルでの作品が約束されているので安心して読めます。
原題は「レッド・カーペットの噂」
さて,本作のヒロインはシンシア・ハモンド。友人の俳優ジョナサンに誘われてニューヨークにやってきます。しかし,ジョナサンは毎晩パーティに連れだって出かけるものの,会場ではすぐにヒロインを置いてきぼりにして自分だけが楽しんでいる様子です。単なる友人だと思っているシンシア(シア)ですが,それでも慣れないニューヨークでひとりぼっちになるのは何となく寂しい思いをしています。ある会場で,息抜きにベランダに出たところで,圧倒的な魅力と存在感のある男性が会場から出てきます。それが,億万長者のルシアン・スティールでした。ちょっと言葉を交わした程度ですが,会場に戻ったところでジョナサンが急に向かってきてシアの腕をつかみシアを詰ります。それを止めたのはルシアンでした。ルシアンの姿を見て追求をやめたジョナサンでしたが,彼の様子はこれまでイギリスで会っていた頃の様子とはすっかり変わっていました。実はルシアンはジョナサンの出演している作品の出資者でもあり,これまで数ヶ月間ジョナサンの行動に警告を与えていたのでした。どうやら薬物依存になり,さらにはルシアンと噂されている既婚者女性とも個人的なつきあいがあるらしいのです。腕を激しく捕まれたのを心配したルシアンはシアの手当てをするとしてホテル最上階の自分のコンドミニアムに誘うのでした。ベランダでの出会いから,ルシアンはシンシアに,シンシアはルシアンにそれぞれ強く惹かれるものを感じていましたが,出会ったばかりで億万長者として名高いルシアンに誘われるとは思っても見なかったシンシア。しかもルシアンは自分をシアではなく,シンと特別な呼び名で呼ぶのです。きっと本気で自分を誘っているのではないと思ったシンシアは,誘いを断り自分で安ホテルに泊まろうとします。しかし,物騒なニューヨークの,しかも安宿ではシンシアがどんな危険な目に遭うかもしれないと思ったルシアンはボディーガードのデックスを付けます。翌朝になって部屋の外に一晩中デックスが見張っていたことを知ったシンシアは,感謝するとともに,見張られていたことへの反発も感じます。翌日ルシアンのオフィスにやってきたシンシア。ここでも自分のプライドを守ろうとするシンシアとシンシアの世話を焼きたくなってしまうルシアンの間に丁々発止の言葉の応酬があります。なんとかその晩の食事に誘うことに成功したルシアンは,会議中もシンシアのことばかり考えていて集中できず,途中で会議を中止してしまいます。ルシアンのコンドミニアムで食事を作りながら次第に互いのガードを下げていく二人。互いに合意の上に関係を持とうとした瞬間電話が鳴り,ジョナサンがホテルのフロアで暴れているという連絡が入ります。そして二人で階下に降りていくとジョナサンがルシアンとシンシアを罵って吐いた言葉が,二人の関係を急激に冷めさせていきます。ジョナサンを単なる友人と考えているシンシアですが,ルシアンはシンシアがジョナサンと特別な関係ではないかという疑いをもち,さらにシンシアがジョナサンを利用してわざと自分に近づいたのではないかという気持ちをもってしまうのです。
イギリスに帰ろうとするシンシアを引き留め,自分がシンシアを愛し始めていることに気づいたルシアンはついに,シンシアに自分の気持ちを告白します。さて,それに対するシンシアの答えは?
最後の締めくくりはモーティマーらしく,とてもすっきりと,思わず笑みを漏らしそうになる結末です。


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