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イタリア富豪の秘めた情熱 [アニー・ウエスト]

SHALOCKMEMO777
イタリア富豪の秘めた情熱 Captive in the Spotlight 2013」
アニー・ウエスト 漆原 麗





自分の兄を死に至らしめた女性。裁判の結果,証拠と証言から過失致死での有罪実刑判決で服役。ここまで読むとロマサスではないかと思ってしまいますが,実はロマンス色の強い作品です。事件の前に出会っていて惹かれていた相手が,まさか実の兄とも関係があったのでは,という疑いを捨てきれず,本人は繰り返し無罪を主張し,遺族に対して謝罪の気持ちを表さなかったため,それを恨む気持ちもあったので,ドメニコ・ヴォルペはルーシー・ナイトを許すまいと思っていたのでした。それから5年。出所したルーシーを監獄に迎えに行ったドメニコ。マスコミの取材から逃れるため,ドメニコは宮殿と呼ばれるヴォレペ一族の邸宅にルーシーを連れて行きます。ルーシーはまさか自分を恨んでいるはずのドメニコが迎えに来るとは思ってもいなかったのですが,自分を難詰するつもりではなく,取材陣に余計スキャンダルを広めて欲しくないためだという言葉を聞いてドメニコの車に乗り込むのでした。その夜,ドメニコの兄サンドロの亡くなった場所で兄の死を悼むルーシーの姿を見て,ドメニコは意外に思います。そして,自分は無罪だと相変わらず主張するルーシーに腹をたてます。この家にはいたくない,出て行こうとするルーシーの気持ちも理解でき,ドメニコはルーシーを連れて自分の所有する島へ移動しました。二人の関係は兄の死の前に戻れないだろうかと考えるドメニコ,しかしルーシーは頑なに自分はやっていないと繰り返すばかり,しかもそんなルーシーに惹かれていく気持ちをドメニコは止めることができません。ルーシーは島にやってきてから少しリラックスできた様子。そんなとき使用人の娘が行方不明になる事件が起こります。懸命に探す人々。ルーシーの姿が見えず,ドメニコはルーシーが連れ去ったのではと疑いを持ち,ルーシーを探します。見つけたところ,ルーシーはいなくなった娘が穴に落ちそれを助け上げようとしていたところでした。小さな穴から漆黒の穴に命綱で降りていったルーシーは娘を見つけ,先に引き上げてもらいます。監獄での漆黒を思い出してルーシーは恐怖を抱きますが,勇敢に娘を助けたい一心で自分から穴蔵に降りていったのでした。それを間近に見ていたドメニコは,ルーシーが裁判で証言されたような女性ではないのではないかと思い始めます。それに,島の人々もルーシーに対して賞賛の拍手を送るようになるのでした。事件当日,犯人は自分ではなく,警備責任者のブルーノ・スカルラッティだと主張するルーシーの言葉を確かめてみようと考えたドメニコですが,すでにブルーノは引退していなくなっています。ドメニコの警備隊長のロッコの提案もあり,事件当日の真相を本気で探ることにしたドメニコ。
ルーシーもまた,事件前はドメニコに惹かれていました。しかし,ドメニコとサンドロが兄弟だとは思ってもおらず,裁判所に現れたドメニコが自分に味方するために駆けつけてくれたと思い込んでいました。ところがそのドメニコが冷たく自分を見つめるだけだったのに傷つき,ヴォルペ一家を誰も信用すまいと思い続けてきました。しかも,自分の継母も雑誌の取材に自分をあしざまに証言する記事が掲載され,家族からも見放されたと思い絶望していたところを,ドメニコがマスコミの取材から自分を救い出し,島に連れてきてくれたことに密かに悦びを感じていました。しかし,自分の無罪を信じてくれないドメニコに失望といらだちも隠しきれないでいたのです。そんなドメニコが自分の主張を少しでも認め考え直してくれるのではと希望を抱いたり,また失望したりを繰り返し,やがて,島を離れ,ドメニコの元を去ろうと決意します。そんなルーシーの住まいを訪れたのはドメニコでした。失踪したブルーノの居所を探し出し,その証言が嘘であることを確かめたドメニコは,ルーシーが無実の罪をなすりつけられ,兄の妻の証言も真実ではなかったことを知ったからでした。二人の関係は果たして変化していくのでしょうか。
不幸な二人の関係が,あり得るのではないかと思われる設定で,ロマサス的な雰囲気とロマンス色が見事に融和した,心と心のふれあいを描いた佳作です。


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