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ふたりの六週間 [デビー・マッコーマー]

SHALOCKMEMO778
ふたりの六週間 The Apartment 1993」
デビー・マッコーマー 風音さやか





アパートを借りて独り立ちしようと引っ越してきたふたり。一人は母親の元から自立しようとしてサンフランシスコから引っ越してきたポートランド交響楽団のフルート奏者ヒラリー・ウォズワース。もう一人はグリーンベレーを退役して来た隊員ショーン・コクラン。しかし,本当は二人とも家主であるグーリア夫妻の家の2階をシェアするつもりだったのです。ところが夫妻がそれぞれ別の契約を結んでしまったことから,一部屋ずつを使わざるを得ない,いわゆる同居の形になってしまったのでした。思惑の外れた二人は初めは互いに生活習慣の違いから反目せざるを得ませんでした。几帳面で上品なヒラリーと,軍隊生活しか経験のないショーンでは,食べ物の好みから聴く音楽の好みまで全く合わない二人だったのです。しかし,グーリア夫妻はすでに長期旅行へ出かけてしまい,連絡も取れません。とりあえず,グーリア夫妻が帰宅してショーンの敷金を払い戻してもらい別の部屋を借りるまでの期間は我慢して住むことになるのでした。
コメディタッチの作品かなと思って読み始めましたが,ショーンはヒラリーのような上品な女性とのつきあいの経験がなく,ヒラリーもまた男性とのつきあいが亡かったわけではありませんが相手が自分の家柄や財産目当てに自分に言い寄ってきたという苦い経験しかなく,手探りの状態での二人の共同生活がとてもリアルで,しずかに物語が進行していきます。母からの独立が最大の課題であるヒラリーですが,次第にショーンから守られていることに気づき,ショーンを愛するようになります。しかし,ショーンはヒラリーが大切にされるべき存在であり,がさつな自分との未来はとても考えられないと思うようになります。そして,交響楽団の演奏会の日,ヒラリーはショーンと母親を演奏会に招待します。互いの存在に気づかないまま隣同士の席になった母ルイーズとショーン。ルイーズは娘のことで,そしてショーンはガールフレンドのことで悩んでいることを偶然打ち明け合います。ルイーズは娘の様子から相手がショーンであることに途中で気づいた様子ですが,40代にしか見えない若いルイーズがまさかヒラリーの母親であることに気づかないショーン。やがて感動の内に演奏が終了し,ヒラリーの元にお祝いを言いにやってくるショーン。その後ろにヒラリーの母親が来ていることには全く気づかずに・・・。
さて,母ルイーズはどういう態度に出るのでしょうか。三人の邂逅の感動のシーンに思わず涙がこぼれてしまう絶品の小品です。


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