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囚われの宝石 [キャロル・モーティマー]

SHALOCKMEMO785
囚われの宝石 A Prize Beond Jewels 2014」
キャロル・モーティマー 麦田あかり





ディアンジェロ兄弟シリーズの第2作です。前作「裏切り者に薔薇を」ラストでの結婚式の後,長男ミカエルと次男ラファエルはニューヨークの「アークエンジェル」で開催されるロシアの富豪パリトフ家の宝石展の準備をしていました。宝石展の陳列棚をデザインしたディミトリ・パリトフの娘ニーナを待っている次男レイフの元に野球帽をかぶった若い青年がやってきます。しかし,その若者こそ,ニーナ・パリトフ本人だったのです。野球帽を脱ぐと肩まで届く見事な美しい赤毛が流れ落ちたのです。80歳を迎えるディミトリの娘というので中年の女性をイメージしていたレイフの予想を裏切って,グリーンの瞳と細身で素晴らしいスタイルをしたニーナは,ディミトリがかなり遅く生まれた一人娘だったのです。そんなニーナにレイフはすぐに惹かれてしまいます。しかし,ニーナはレイフに対して対等な口の利き方をし,パリトフ家とアークエンジェルの間に交わされた契約を引用しながら,この展示会のセキュリティはパリトフ家にあることを指摘したのでした。自分に対してコンな口の利き方をした女性はこれまでいなかったことや,自分の魅力にまったく気づいた様子もないニーナに対してレイフはさらに惹かれていくのです。二週間にわたる準備期間中にニーナとレイフの間には強く引き合う力が生まれました。ニーナも父の強いガードから自立したいと考えており,レイフにそれを指摘されたことでさらにレイフへの思いが募るのでした。そしてレイフのアパートで一夜をともにした二人ですが,翌朝目覚めてみるとニーナはすでにいなくなっていました。プレイボーイとして有名なレイフがいつまでも自分を追いかけるはずがないと思っていたニーナは二人の関係は一夜限りのものと覚悟していたからでした。その事に腹を立てたレイフは,誘われるままにディミトリとニーナの家に乗り込みます。ディミトリは自分を恐れずに冷静な対応をしたレイフに感心していました。そして,いずれニーナが自分の元から去って行くことを覚悟したのでした。実はディミトリにはニーナに秘密にしていたことがあり,十九年前の妻の死と自分を車椅子生活に追い込んだ交通事故に関する事実を話す決意をします。それを聞いたニーナの姿が消えてしまいます。レイフとディミトリは心当たりをすべて探しますが週明けまで見つかりませんでした。月曜日レイフのオフィスにニーナが現れます。自分のデザインを「アークエンジェル」で使ってもらうというレイフからの提案に応えるためのスケッチをもってきたというのです。姿を消したことに一言も触れずに。そこに,ニーナの後を追っていたディミトリも現れ,レイフも同席する中で十九年前の真実を話します。レイフはディミトリの判断は誤っていなかったことを指摘し,ニーナもその言葉に父を責めるのではなく,父もまた長い間苦しんでいたことに気づき,親子の気持ちが再び繋がります。感動的な場面です。そしてそんな気持ちにさせてくれたレイフからの誘いに喜んで従うニーナでした。ふたりはついに愛の言葉を交わします。
次作ではきっと長男ミカエルのロマンスが語られるのでしょう。本作も前作同様とても内容の深い作品でした。


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