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砂の王宮のシンデレラ [ジェニー・ルーカス]

SHALOCKMEMO787
砂の王宮のシンデレラ The Sheikh's Last Seduction 2014」
ジェニー・ルーカス 高橋美友紀





初めはプレイボーイのシークが何も持たない一人の元ナニーとのロマンスに落ちるだけの話かと思っていましたが,全く違いました。
友人の結婚式でふと見かけた女性。モデル体型ではないものの,女性らしい体型と憂いを帯びた姿で湖の畔にたたずむ一人の女性を見た瞬間,マクタール国(アラブ首長国連邦の中の一国らしい)のシーク,シャリフは一瞬にして恋に落ちたのだと思います。しかし,手厳しい拒絶にあって,なんとしてでも彼女を落としてみせると決意するシャリフ。3日間にわたる結婚行事の間に何度もアタックするのですが,ことごとくノーと言われてしまいます。これまで自分の誘いを断られたことのないシャリフ。しかも彼女アイリーン・テイラーには本当に愛する人と一生添い遂げることが夢だとまで言われてしまいます。シャリフにはすでに結婚を約束した女性がいることは,物語中盤まで語られませんが,シャリフはアイリーンとの結婚を考えていたわけではありません。ただ一夜の関係だけを望んでいたのでした。しかし,妹のコンパニオンとして一緒にマクタールまで来て欲しいという提案には,経済的に困窮し,仕事を失ったばかりのアイリーンは承諾するしかなかったのです。アイリーンもまた男性的魅力に満ちあふれたシャリフとの恋愛を望んでいたのですが,愛を信じず,欲望を優先しようとするシャリフの考え方に真っ向から反対したのです。
シャリフの妹が嫁ごうとしていたのは隣国の40歳も年の離れた首長。前のコンパニオンの執拗な誘いの言葉に釣られて19歳にして結婚を承諾してしまったのでした。国のためには自分が望む結婚などできない王族の宿命。しかし,アイリーンはそのことにもシャリフに真っ向から反対するのでした。そんな反抗的な態度はかえってアイリーンの魅力を増していることにシャリフは気づきます。そして妹を嫁がせたら自分も許嫁との結婚を急ぐつもりでした。その時にはアイリーンは解雇され,アメリカに帰らされる契約でした。式まで一週間というとき,妹アジーザは結婚をいやがるようになります。これもアイリーンの考え方に影響されたせいか?しかも,国のために自分の妹まで犠牲にする気かという言葉にシャリフもついに破談を決意し,相手の首長に経済的取引を持ちかけて妹との結婚を断る電話をするのでした。そうなるともはやアイリーンが国に留まる必要もなくなってしまいます。そこに,折悪しくシャリフの婚約者カリーラが王宮にやってきます。そして即刻アイリーンを国外に追い出すように要求するのでした。「あなたにシャリフを渡さないわ」と強く言い返すアイリーン。すでに王宮に馴染み,妹やスタッフから厚い信頼を寄せられていたアイリーンでしたが,シャリフはアイリーンを帰国させるのでした。この感動的な場面には,涙がでます。愛してもいない人と一生をともにして幸せになれないことが分かっているのに,そんな不幸を背負わせることは,シャリフを愛するアイリーンにはとてもできなかったからです。
帰国後,母を療養所に入れ,姉に大学での勉学をできるように手配するアイリーン。でもその心は空っぽでした。そして,アジーザの乳母から聞いたカリーラの秘密。結婚式まであと二日というときに,マクタールから彼女の荷物が送られてきます。しかし荷物の中には衣服の他,一通のメモ書きしかありませんでした。そのメモを見てあることを思いついたアイリーン。愛するマクタール国とシャリフを守るため,アイリーンはある決意をするのでした。終盤に訪れるスピード感のあるストーリー展開は読み応えがあり,すっかり物語に引き込まれる秀作です。今月の一押し。


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