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生け贄の花嫁 [スザンナ・カー]

SHALOCKMEMO794
生け贄の花嫁 The Tarnished Jewel of Jazaar 2012」
スザンナ・カー 柴田礼子





ジャザール王国のシークは,対抗する勢力との協調を図るため,族長たちの推薦する花嫁候補との結婚を決めていた。いよいよ結婚の儀式が始まる。まだ顔も見たことのない花嫁。ベールを挙げてみたときシーク・ナディール・イブン・シハブは完全に自分がだまされていたことを知る。花嫁となったのは,シークにふさわしい伝統的で純粋なジャザール人部族の乙女ではなく,アメリカ人との混血の娘だった。しかも生娘ではなかった。しかし,今この花嫁を拒絶すれば,国家の安定は図られず,内戦に陥る可能性もある。「この卑しむべき女を花嫁として受け入れよう。そして,結婚式が済んだら,部族の長老たちに順番に思い知らせてやろう。」そう決意したシークだった。その夜,テントで待っていた花嫁ゾーイ・マーティンは,アメリカ人の父親のように医師になることを夢見ていた。「アメリカに渡り,医大に通いたい。」そのためには,シークとの結婚を利用して自分を利用しようとしている叔父たちの下を離れ,アメリカに逃げよう。そう決意していた。
シーク・ナディールとの初夜に,ゾーイはナディールに惹かれている自分に気づく。ナディールもまた,不思議な魅力を持つゾーイに惹かれるのだった。やがて,砂漠の国では習慣となっていなかった新婚旅行を兼ねて,二人は国外に出かける。ナディールの警備隊長グレイソン以下の警備員に挟まれ,なかなかナディールの下を離れることのできないゾーイ。いくつかの国を経てついにアメリカの隣国メキシコまでやってきた二人。そしてニューヨーク行きが決まったとき,ゾーイは密かに驚喜する。と,同時にナディールの下を離れがたいことにも気づいていたのだった。果たして,ゾーイの夢は叶うのか。
独裁的なシークと,混血の女性ゾーイとの心の交流とすれ違いが読者を物語の世界に引き込みます。西欧化を図ろうとするシーク・ナディールの思惑と,ゾーイの夢が次第に結びついていくストーリー展開に,ロマンスが絡み,読後感の良い作品に仕上がっています。これまで読んだスザンナ・カーの作品の中では,もっともおとなしい感じの作品でした。


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