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ボスとの秘密の関係 [ジェニファー・ルイス]

SHALOCKMEMO800
ボスとの秘密の関係 Millionaire's Secret Seduction 2009」
ジェニファー・ルイス 高山 恵





SHALOCKMEMOの800号となる記念の作品となりました。10年間で800冊,平均して年間80冊のロマンス小説を読んできた勘定になります。もちろんその中には邦人作家の作品やミステリ,SFとの境界が不明確なものもありましたので,広義の意味でロマンスを描いたものと考えればいいかなと思っています。当初はノーラ・ロバーツやサンドラ・ブラウン,リンダ・ハワード,ジェイン・アン・クレンツ,ダイアナ・パーマーなどなど,大御所の作品を楽しんできました。その後本格的に毎月の新刊文庫を手当たり次第に集め,収集狂になった観がありましたが,東日本大震災を挟んで,収集量の激減,読書量の減少となり,震災後はKINDLEを中心に電子書籍での読書が多くなったため,ハーレクイン社の作品を中心にした読書に偏っている状況です。しかし,特にここ数ヶ月は読書量も増し,この11月は月間最多となる18冊をすでに読了しました。もっとも,156ページものがほとんどだったのでページ数はそれほど多くはありませんでしたが・・・。
さて,本作です。ナノテクノロジーを活用した画期的化粧品の開発部門で研究を牽引しているベラ・アンドリュース(ベラ・ソロス=アンドリュースは母の姓)は,社の会長タラントが,自分の父の研究成果を安い値段で奪い取り,それを苦にした父が亡くなってしまいます。すると母も精神的に参ってしまって入院し唯一ベラが父のことを話したときだけ正気を取り戻すというありさまでした。ベラは父の研究成果を適正に認めてもらうための裁判を起こす資料を集めるため,ハードキャッスル社に入社したのでした。そこに,タラントの愛人の息子だというドミニクがやってきます。一目見たときからベラはドミニクに惹かれますが,ドミニクもまた,白衣の下に隠れたベラの美しさとモデル体型ではない起伏に富んだ身体に惹かれます。そして,ベラは自分の秘密である入社の動機をドミニクに話してしまうのでした。ドミニクもまた父である会長から息子として認知されていないことから,独力で事業に成功し富豪となっていたのですが,会長が不治の病で余命数ヶ月という宣告を受け,自分の財産を受け継ぎ,会社を切り盛りしていく息子として,ドミニクを認知しようとしていたのでした。ベラに告げられた秘密を,いともあっさりと父であるハードキャッスルに話してしまうドミニク。この裏切りをベラは知りません。そして,母の入院先から看護婦付きで退院するための費用を負担してくれたドミニクに感謝の気持ちすら持つのでした。
このドミニクの裏切り的行為は読者としては許せませんね。しかも後にそのことを知ったベラから非難されたドミニクは,会社のため,そして父のためだと平気で言ってしまうのです。父親譲りの強引さ,身勝手さというのが終盤まで繰り返されます。しかし,そんなドミニクに惹かれてしまう,求められることを期待してしまうベラに,愛らしさを感じてしまうので,すっかり作者の罠にはまった感じでもあります。ドミニクの裏切りを知った翌朝の新聞に二人の関係がリークされ,物語は急展開していくのですが,この情報を新聞社にリークしたのが誰か,作者は思わせぶりに会長タラントの三番目の妻サマンサの姿をちらつかせるのですが,それは次作以降に明らかになっていくのかもしれません。ドミニクの存在感の強さもさることながら,ベラと二人で交わすしゃれた冗談の応酬も本作の魅力の一つです。


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