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大富豪との一夜の続き [ソフィー・ペンブローク]

SHALOCKMEMO812
大富豪との一夜の続き Stranded with the Tycoon 2013」
ソフィー・ペンブローク 清水由貴子





 大学の時パーティで一度だけ軽くキスしただけの男性との再会。歴史学者で大学教授のルシンダ(ルース)・マイルズは,歴史学会の会議で宿泊の予約が取れていないことで,フロントで掛け合っていた。「自分のことは自分で解決する」をモットーとしている彼女。そのとき,ベンが現れる。このベンとルースの再会がきっかけで,物語は展開していきます。ホテルのスイートを定宿にしているベンは,スイートの一部屋をルースに使ってもらおうと申し出ます。このとき,ルースの頭の中には8年前20歳の時のベンとのひとときが渦巻いてくるのでした。ベンは私を覚えているかしら,あの一夜を覚えているかしら,あの後ベンは変わったのかしら,それとも昔のままかしら,そんな思いをめぐらしながら,とりあえずスイートに泊まることにするのです。ベンはもちろんルースを覚えていました。だから声を掛けたのでした。パーティで見たときのルースと今のルースは服装も違っていましたし,昔よりはるかに魅力的になっていました。うまくいって,一夜の関係を持てれば,という淡い期待もしていたのです。でも男女の関係は一夜限り,その後の面倒なことは絶対避けたい,というのがベンの信条でした。その夜は互いに思いを巡らしながらも,なにも関係が進展しないままでしたが,翌日,ウエールズに帰るルースをベンは送っていくことを思いつきます。幸い雪が降ってきて列車が予定どおり出発しないことが分かり,車で送っていくことにするのですが,途中雪が深くなり,今夜中にカーディフにつくことは無理だと思われました。ベンの持っている山荘に寄って雪を避けることにするのですが,一夜明けて更に雪が深くつもり,出発するものの途中寄った古い城から引き返し,結局三日間は山荘にいることになるのでした。二人の関係はこの三日間で決定的になります。そして,何事も予定を立てて家族のために尽くすルースの生き方と,両親の結婚生活の破綻から家族に見切りをつけていたベンの生き方の違いを互いに理解し合えないまま二人は別れるのでした。数週間後,妊娠に気づいたルース。ベンにもこのことを知らせなければと思いながら,なかなか踏ん切りがつかないでいます。ベンとの連絡もなかなかつきません。面倒を見ているつもりだった妹のドリーが,ルースの相談相手として成長していて,この困難を乗り越える頼もしい味方となっているのに気づいたルースは,自分を頼ろうとしている母と弟にはっきりと自立するように言うことが出来たのでした。ベンとの関係はどう進展していくのでしょうか。ベンもまたルースと別れてから,兄のセバスチャン(セブ)から新たな企画の話を持ちかけられ,ルースの妊娠を知らされたときの対応のまずさを実感しました。そしてある決意をするのです。結局再会してから三カ月の月日が流れ,二人の関係が新たな進展を見せます。
 互いの家族との複雑な関係を整理し,二人(生まれてくる子供を含めて三人)の生活を築いていけるのか,互いの心の成長を描いた良作です。


タグ:イマージュ
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