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愛なき富豪と孤独な家政婦 [ジェニー・ルーカス]

SHALOCKMEMO820
愛なき富豪と孤独な家政婦 The Consequences of That Night 2013」
ジェニー・ルーカス 三浦万里





21歳から7年間チェーザレのホテルでメイドとして働き始めてからずっと,陰でチェーザレを愛してきたエマ・ヘイズ。一夜を共にした後二ヶ月半経って医師の元で超音波検査ではっきりと妊娠を確認できたエマ。それなのにチェーザレの言葉ときたら・・・。「君に個人的に面倒を見てもらった方がいい。他のスタッフでは君のように行かないんだ,ミス・ヘイズ」とか「君は個人的な話で僕をうんざりさせることがない,ミス・ヘイズ。僕は君のことをほとんど何も知ることがない。」「僕に対しても何も感じていないのだろうと納得していた。君にとっては僕は仕事の一部に過ぎないと。」「おかげでことは単純だった。だからうまくいっていたんだ。僕らは友達だと思い始めていた。」
これが「愛」ではなく「欲望」だとするチェーザレと愛をw,家庭を求めるエマとのすれ違いが決定的となり,エマはチェーザレの元を去ります。
十ヶ月後,生後4カ月になる息子サムを乳母車に乗せてパリの公園を散歩しているエマを,チェーザレが見かけて追いかけます。エマもチェーザレを見かけたような気がしたもののパリにいるわけがないと思って首を振ります。パリはチェーザレが訪れたくない前妻との思い出の場所だったからです。しかし,電話で話している声を聞いてチェーザレだと分かります。しばらくぶりの再会。印象に残るシーンです。話し合いを持とうというチェーザレに「私と息子にとってあなたは必要のない人」と言い切ります。愛のない結婚は,前妻を思いきれないでいるチェーザレとは居たくない,という思いからでした。一度は親権を取り戻す訴えをするぞと脅すチェーザレでしたが,弁護士と話して親権争いは結局息子を傷つけることになると言われて思いとどまります。しかもエマが働いているのは前妻の兄で犬猿の仲のアラン・ブシャールのところでした。なんとかエマとサムを引き留めたいチェーザレは一計を案じます。調整が取れて,サムのためには二人が結婚することがベストだというチェーザレの提案をエマも飲まざるを得ませんでした。愛はないが,両親のそろった家庭。結婚式当日までエマもチェーザレも迷い続けています。結婚式は無事終わり二人は愛を取り戻せるのでしょうか。
結婚の失敗から自分を守るために愛を捨てようとしたチェーザレ。愛のためにチェーザレとの別れを決意したエマ。どちらもそれぞれの立場からは正しいのでしょう。そのすれ違いを作者がどのように解決するのか。最後まで目を離せない良作です。


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