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妻の隠された昼の顔 [キャロル・モーティマー]

SHALOCKMEMO825
妻の隠された昼の顔 Lovers in the Afternoon 1985」
キャロル・モーティマー 山本みと





ちょっと変わったストーリーの作品ではあります。キャロル・モーティマーの1985年の作品ですが,古さは全く感じられません。デビュー作が1978年ですからデビューして7年目の作品となるでしょうか。なにせ多作家として知られる作者ですので,ある資料によれば,この年,本作も含めて9作もの作品を出版しているようです。ほぼ40日で1作というハイペースでの作家活動ですし,次々にわき出る構想をただひたすらタイプして,しかもそれがいずれも良作となるという信じられないような天才と言っていいのではないかと思います。それにしても今頃翻訳がでるというのも・・・。
さて,本作ですが,ヒロインはインテリアデザイナーのレオニー・グラントは上司から言われて,発注先に出かけます。このヒロイン,徹底したドジな女性で,しょっちゅうつまずいたり転んだり,エレベーターに閉じ込められたりという「事故」を繰り返す美女。しかも23歳にしてかなり年の離れた男性とすでに結婚し,ただいま別居中。そして,発注先の新社長がなんと別居中の夫であることに,発注先で気がつきます。もちろん彼女の上司がそのことを知るよしもありません。とにかく設計事務所に名指しで指名があったことで,過去のデザインが評価されたものとしか考えていませんでした。実はこれは,夫アダム・フォークナーの企てだったようです。そのことが,ストーリーの中で次第に分かってくるという筋立てがとても面白い設定だと思います。結婚したものの,まだ精神的に幼かったレオニーは夫アダムの要求に応えられず,しかも生来のドジぶりですっかり結婚生活がうまくいかず,別居申し立てをしてはや九ヶ月。夫アダムもまた,妻のそんなドジぶりを愛らしいと思いながらもそれをうまく妻に伝えられずにぎくしゃくしたところで,妻の姉と一緒にいるところを妻に見られてしまい,スワッ浮気か?という誤解を生む行動をしてしまったため別居が決定的となったのでした。しかも,これも,次第に明らかになってくること。今回,あえて,仕事を名指しで依頼したことで,妻との接点をもう一度つかみ直し,なんとか本来の結婚生活をしていきたいとアダムが考えた結果,次々と新婚生活で出来なかったことをやろうと努力していくのです。涙ぐましいこの努力が次第に実を結んでいきますが,アダムの父は,妻レオニーをよく思っていません。夫婦の関係は改善されていっても義父との関係が悪いままではやはり結婚生活はうまくいかないことが予想され,この夫婦,離婚して恋人としてもう一度付き合おうとするのでした。そんなこんなのあげくに,次第に互いの誤解が解けてきて,愛を率直に口に出来るようになるのですが・・・。最後に残った浮気の誤解。それがどんなふうに解けていくのか。そして毎週決まって金曜日の午後11時30分にレオニーのアパートにかかってくる不審電話。その解決は?後半ちょっとスリラーっぽい要素も織り交ぜて語られる,愛らしい夫婦の物語です。


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