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愛なき王と氷の女神 [ケイト・ヒューイット]

SHALOCKMEMO834
愛なき王と氷の女神 A Queen for the Taking? 2014」
ケイト・ヒューイット 藤村華奈美





「プリンスの冷たいキス」の関連作。王に即位したリオの兄アレッサンドロ(サンドロ)は,配偶者を得るため公爵令嬢リアーナ・アルテノと婚約します。冷ややかな表情と落ち着き,氷の女神と思わせるようなリアーナのたたずまいを,サンドロはなんとかリラックスさせようと思わずにはいられません。淡い金髪,細身で小柄ながら誇りと気品が漂う物腰,彫像のようなリアーナですが,サンドロと名前で呼んで欲しいと言ってもリアーナはなかなか陛下以外の呼び方ではサンドロを呼ぶことができません。謂わば便宜的な結婚をしようとしている二人ですが,たとえ愛がなくても結婚を続けている間は気軽な関係をしていきたいと考えているサンドロに対し,リアーナはあくまでも敬意を持ってはいても冷たい態度を崩しませんでした。実は二人は過去に一度出会っていたのです。ミラノのリアーナの父の誕生パーティで,リアーナ12歳,サンドロ20歳の時に。リアーナは8歳の時に目の前で妹のキアーラが呼吸困難になり苦しんで亡くなるのを目の当たりにした経験を持っていました。その時なにも出来ずにじっとしてしかいられなかった自分を恥じ,10年以上もそのことを忘れることが出来ないでいました。そのため,感情を表に出すことを拒否し続けてきたのでした。サンドロもまた,皇太子でありながらその務めを果たさず国を離れアメリカでIT企業を経営する生活を15年間もしてきたことに負い目を感じていたのでした。弟リオに国の政治を任せきりにして・・・。今回父の要請を断り切れずマルディニアに帰国し,王位を継ぎはしたものの,独身でいるわけにもいかず,妻帯者として複数の候補者の中からリアーナを選び婚約したのです。互いに過去のぬぐいきれない後悔の念を持つ二人は互いに質問ごっこをしながら自分の痛みを少しずつ分かち合っていきます。互いの秘密の感情を徐々に明らかにしていく過程と,同時に少しずつ互いの気持ちが近づいて行く様子が本作の中心のテーマです。そして弟リオが15年間の中でどんなに国の将来を計画的に変えようとしていたかということに気づいたとき,サンドロは王位を弟の手に戻そうと考えたのですが・・・。やっとのことで真剣に話し合いを持つことが出来たサンドロとリオ。王位を手放すことが,王妃として結婚を考えていたリアーナとの別れをも意味することを残念に思うようになった自分の変化に気づくサンドロ。マルディニアの将来はどうなるのか?
出会いは便宜的なものであっても互いに深く愛し合うようになったリオとアリス。サンドロとリアーナもまた弟夫婦と同じように愛し合い信頼し合う関係に発展するのでしょうか。エピローグでは1年後の二人の関係が語られます。愛と癒やしの優しい物語です。


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