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白馬に乗れない王子 [メラニー・ミルバーン]

SHALOCKMEMO837
白馬に乗れない王子 Never Underestimate a Caffarelli
(カッファレッリ家の祝祭 2) 2013」
メラニー・ミルバーン 柿沼摩耶





シリーズ第2弾。ラフェの弟ラウルはスポーツマン。スキーで脊髄を損傷するほどの大怪我を負い,自宅の城に閉じ困ってしまう。ポピーとの結婚を目前にしたラフェは,ラウルを結婚式に参列させるために理学療法士リリー・アーチャーを大金を投じて雇うことにする。車椅子生活を余儀なくされたラウルは人を寄せ付けず,回復への意欲も失っていて,リリーに対しても頑固に治療を拒絶する。しかし,会った瞬間から,リリーもラウルも互いに惹かれ合うものを感じつつもそれを素直に言い出せない理由を持っていた。ラウルの回復への意欲のなさと今の姿を他人にさらしたくない感情,そして婚約者に捨てられたという失望感,リリーは通常は女性の患者しか相手にしないできた療法士とのして方針。実はリリーは人に言えない過去の深い傷を持っていたのだ。治療は第一日目から暗礁に乗り上げてしまう。プールでの水中歩行の訓練から,二人の関係は急速に近づいて行く。
頑固者のラウルは元恋人のクラリッサ・モンクリーフに怪我の後捨てられたということにそれほどこだわっていませんでした。それを認めることは自分の現状や無力な姿を認めることになるからです。それをリリーにぶつけることによって苦しい訓練から逃げようとしていたのだろうと思います。しかし,プールでの一件からリリーの隠れた魅力に気づき,俄然がんばろうとします。時にはリリーがやり過ぎで反って体を壊すのでセーブするほどでした。また,リリーも過去に男性から痛められ,自傷行為に走った過去があり,自分には男性から相手にされないという自信のなさと思い込みがありました。当然治療期間を1週間,1カ月と区切って早く自分との契約を打ち切ろうとするラウルが自分に好意を抱いているはずがない,もし好意を抱いたとしても自分の体だけが目的で愛しているはずがないという気持ちが強かったのです。やがて車椅子のまま,ラフェとポピーの結婚式に参列したラウル。式にはリリーも連れて行ったのでした。式後のパーティで周囲の人々が自分とリリーの噂話をしているのを聞きつけたラウルは,それに腹を立て,同時に今後もこのような目で他人から見られるのではないかという怖れから,リリーに対して,即刻クビだとみんなの前で言ってしまうのでした。互いに愛する気持ちに気づいていながら,素直になれない二人。ロマンスの常套ですし,理学療法士と怪我を負った大富豪との組み合わせも決して目新しいものはありませんが,城で展開される静かで熱い物語に,ついつい引き込まれてしまいます。これも,ミルバーンの筆力のすごさでしょうか。


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